1次試験 かぶり問題
「かぶり問題」とは、LECを含む受験対策スクール5社の1次模試で、テーマが重複した問題。各社が重要視している最頻出の出題分野を、ぜひチェックしてください。
経済学・経済政策
かぶり度:★★★★
金融論
- ポイント
- ハイパワードマネー(マネタリーベース)とは、現金と日銀当座預金(支払準備金、預金準備金)の合計である。一方、マネーストック(マネーサプライ)とは、家計や企業が保有している現金と預金の合計である。また、中央銀行がハイパワードマネーを1単位増加させたときにマネーストックが何単位増加するかを表すものが貨幣乗数(信用乗数)である。そして、この貨幣乗数(信用乗数)は、(現金預金比率+1)/(現金預金比率+支払準備率)となる。
- コメント
- 金融論は、診断士試験において最重要論点である。具体的には、現金預金比率や支払準備率の変化に伴う貨幣乗数の変化の関係は、正確に理解しておく必要がある。また、公開市場操作(売りオペ・買いオペ)や法定準備率操作などについての理解が求められることもあるので、それぞれの意味を理解しておくようにしておいてほしい。さらに、ケインズの流動性のわなの状況では、金融政策が無効になるが、こうした状況も理解しておく必要がある。
かぶり度:★★★★
IS-LM-分析
- ポイント
- 経済がIS曲線やLM曲線上にないケースの分析、IS曲線・LM曲線のシフト、財政拡大政策や金融緩和政策の効果などは最重要論点となる。財政拡大政策の場合には、クラウディングアウトとの関連が重要になる。また金融緩和政策の場合、金融緩和政策が無効になるケースが重要となる。投資の利子弾力性がゼロのケースとケインズの流動性のわなのケースでは、金融政策が無効になるのでIS−LM分析を用いて理解しておいてほしい。
- コメント
- IS-LM分析は、診断士試験において最重要論点である。財政拡大政策や金融緩和政策の効果を考える場合、投資の利子弾力性や貨幣需要の利子弾力性の大きさとの関連を考えるようにしてほしい。これらの弾力性の大きさによりIS曲線やLM曲線の傾きが異なってくるが、財政拡大政策や金融緩和政策が無効になってしまうケースは重要であるので必ず理解しておいてほしい。IS-LM分析を考える場合、常に図をイメージすることが大切である。
かぶり度:★★★★
需要の価格弾力性
- ポイント
- 需要の価格弾力性とは、価格の変化率に対する需要量の変化率の割合を意味する。需要曲線が右下がりの直線で与えられている場合、需要の価格弾力性の大きさは、価格が低下していくにつれて徐々に低下していくことになる。また、需要の価格弾力性が1を基準にして1と等しい場合、1より大きい場合、1より小さい場合、のそれぞれについて、価格の変化に伴いその財への支出額がどのように変化するかを理解しておいてほしい。
- コメント
- 需要の価格弾力性は、診断士試験において最重要論点である。この需要の価格弾力性については、①需要曲線上における需要の価格弾力性の大きさ、②需要の価格弾力性の大きさと需要曲線の傾きとの関係(需要の価格弾力性が無限大ならば需要曲線は水平、需要の価格弾力性がゼロならば需要曲線は垂直)、③需要の価格弾力性と支出額との関係が重要となってくる。それぞれについて、しっかりと理解しておいてほしい。
財務・会計
かぶり度:★★★★★
経営指標
- ポイント
- 経営比率分析については、安全性(流動比率、当座比率、固定比率、固定長期適合率)、効率性(総資産回転率、売上債権回転率、棚卸資産回転率、有形固定資産回転率)、収益性(売上高利益率、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE))、生産性(労働生産性、労働分配率)の指標が重要である。
ROE=財務レバレッジ×総資産回転率×売上高利益率、ROA=総資産回転率×売上高利益率 といった総合収益性の式も押させておきたい。
- コメント
- 経営比率分析は、1次試験、2次試験(事例Ⅳ)の両方で出題される最重要論点である。主な指標について、前年度と当年度の比較、業界標準や競合他社との比較、固定資産の売却や借入金の返済を行った場合の指標値の変化といった多面的な出題形式がある、また、直近3年(令和3年〜令和5年)では、生産性の指標、インタレストカバレッジレシオ、サステナブル成長率が出題された。基本的な指標をしっかりおさえつつ、近年出題された指標もおさえてきたい。
かぶり度:★★★★★
株価指標
- ポイント
- 株価に関する比率は、要領よく整理して記憶するのがコツ。まずは、株価 = ■PS × P■R と覚える。ここで、■PSは、一株あたり(Per Share)の■の金額であり、P■Rは、株式時価総額(Price)と■の金額の比(Ratio)である。具体的な■としては、E(当期純利益、Earnings)、B(純資産の簿価、Book Value)、CF(キャッシュフロー、Cash Flow)の3つがあるので、株価 = EPS×PER = BPS×PBR = CFPS×PCFR という関係式が成り立つ。また、、E(当期純利益、Earnings)については、ROEとの関連「PBR=PER×ROE」も押さえておきたい。
- コメント
- 株価に関する比率は、経営分析指標(安全性、効率性、収益性、生産性)と同様、金額の比率による企業分析を行うものであり、落ち着いて見れば難解な内容ではないが、関連して覚えるべき指標数も多いので混乱し易い。また、企業価値の観点(ROEとROAの関連など)、配当政策と関連させた出題も考えられるため、指標間の関連を含めしっかり押さえておきたい。
かぶり度:★★★★★
ポートフォリオ理論
- ポイント
- 複数の資産への分散投資(ポートフォリオ)により、投資のリスクを低減できる(リスク低減効果)。リスク低減効果は、相関係数ρが−1の時に最大、1の時に最小(ゼロ)となる。資本資産評価モデル(CAPM)によると、個別資産の期待収益率を算定する重要公式:Ri=RF+βi×(RM-RF)が成り立つ。ただし、Ri:個別資産iの期待収益率、βi:個別資産iのリスク尺度となるベータ値、RF:安全利子率、RM:市場ポートフォリオの期待収益率 である。(RM-RF)を市場リスクプレミアムと呼ぶ。
- コメント
- 基本的にはリスクとリターン、リスク低減効果、有効フロンティア(効率的ポートフォリオ)、市場ポートフォリオ、市場資本線、CAPM理論等の基礎論点を押さえおくことが重要である。計算(ポートフォリオの割合、β値、共分散など)、知識(投資家の行動など)、図表(効率的ポートフォリオの選択など)と出題パターンも多いので過去の本試験問題を確認しておくとよい。近年安定的に出題されている領域であり押さえておきたい。
企業経営理論
かぶり度:★★★★
競争地位別の戦略
- ポイント
- 競争地位別の戦略はP.コトラーが提唱した理論であり、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの戦略定石を述べている。
それぞれの戦略ポジションは、経営資源の量と質によって規定される。①リーダー:量・質ともに高い、②チャレンジャー:量は高いが質が劣る、③フォロワー:量・質ともに低い、④ニッチャー:量は劣るが、質は高い。
- コメント
- 令和4年、5年と2年連続で出題されている。
経営資源の量に劣る中小企業が目指したいポジションは、ニッチャーのポジションである。
ニッチャーの戦略は、①狭いセグメントに絞る、②高付加価値な製品・サービスを提供する、③価格はやや高めを狙う、という点がポイントである。
また、大手の参入を防ぐことが留意点となり、①早すぎない成長セグメントを狙う、②広範囲に渡る大々的な宣伝広告は行わない、などもポイントとなる。
かぶり度:★★★★
権威受容説
- ポイント
- 権威受容説とは、C.バーナードが提唱した言説である。権威とは、発令された命令を受容者側が受け容れることによって生じる。受容には①言葉としての受容、②行動としての受容、があり、発令者は受容者の言葉による受容のみならず、行動を引き出す必要がある。
また、受容を引き出すための命令の性格条件として、①共通目的の達成に関わる公的なもの、②共通目的を達成するために適切な命令であること、を挙げている。
- コメント
- バーナードは、受容可能な命令の条件に、①命令の内容が理解でき、実際に理解すること、②組織目的と矛盾しないと信ずること、③受容者の個人的利害全体と両立しうること、④受容者は肉体的・精神的に命令に従いうること、を挙げている。
また、「無関心圏」とは、受容者個人が問題なく受け容れる命令のことを指す。個人はぞれぞれ無関心圏の範囲を持っており、無関心圏内では、命令は権威の有無を意識的に反問されることなく受容される。
かぶり度:★★★★
マーケティング・コンセプト
- ポイント
- マーケティング・コンセプトは、生産指向→製品志向→販売志向→マーケティング志向→社会志向の順に遷移している。
大きな転換となったのは、マーケティング志向の時代より、「いかに顧客をつなぎとめるか」という顧客の観点が入り、製品そのものよりも顧客満足の重要性が唱えられている。
さらに、物質的に豊かになった現代では、「社会をいかに良くするか」という社会志向が展開され、顧客との価値の共創が主論点となっている。
- コメント
- 直近の出題は令和2年と時間が空いており、出題気配がある。
P.ドラッカーは「マーケティングの目的はセリング(販売)を不要にすることである」という有名な命題を残している。
一方で、顧客志向が良く、シーズ志向やプロダクト志向が悪いというわけではないため注意したい。
顧客自身も気付いていない潜在的なニーズを充足するためには、シーズ志向やプロダクト志向が起点となることもある。
運営管理
かぶり度:★★★★
工程図記号
- ポイント
- 工程図記号は工程分析を行う際に用いる記号のことであり、加工、運搬、停滞、検査、の4つの要素工程を6つの記号を用いて表す。
停滞は貯蔵と滞留に分けられ、検査は数量検査と品質検査に分けられる。
なお、複数の作業を同時に行っている工程は、複合記号で表される。複合記号は、上記の工程図記号を重ねて記述するが、外側に示される工程が主として行われ、内側に示される工程が副次的に行われる工程を示す。
- コメント
- 近年では、令和2年、4年、5年で出題されている。
工程図記号を用いた図表読解の問題が頻出である。
なお、工程図記号からは、①何人で作業しているか、②どのような運搬具を用いているか、③全数検査と抜取検査のどちらを行っているか、は読み取ることができない。
かぶり度:★★
ステルスマーケティング告示
- ポイント
- 令和5年10月より、ステルスマーケティングは景品表示法違反となっており、消費者庁より「ステルスマーケティング告示ガイドブック」が公表されている。
ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すことを指す。消費者が広告であることを認識できれば、ある程度の誇大や誇張が含まれていると理解できるが、広告であることが判別できない場合、第三者の感想である受け取る恐れがある。
- コメント
- 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示は不当表示となる。そのため、①事業者の表示であること、②一般消費者が事業者の表示であることを分からないこと、がステルスマーケティングの要件となる。
また、①商品又はサービスについて行う表示であれば、あらゆる表示媒体が対象、②規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者、③違反した場合は措置命令および内容の公表が行われるが、課徴金はかからない、という点もポイントである。
かぶり度:★★★★★
値入高予算
- ポイント
- 商品予算計画における値入高予算の問題は、計算問題で出題されやすい。
原価値入率とは、原価に対する割合で値入高を求める手法であり、売価値入率とは、売価に対する割合で値入高を求める手法である。
セット販売や福袋などの問題も出題されるが、基本はまず原価を算出することである。原価値入率より売価を求める場合は、原価×(1+原価値入率)、売価値入率より売価を求める場合は、原価÷(1−売価値入率)によって算出できる。
- コメント
- 商品予算計画に関する計算問題は、例年1〜2台程度出題されている。売上高予算や在庫高予算の計算問題は、以前は頻出であったが近年は出題されていない。
近年は、値入高予算、相乗積、人時生産性が図表読解および計算問題として頻出である。出題されている内容や観点は、過去の出題例を踏襲しているケースが多いため、過去問演習を通じて論点を整理してほしい。
経営法務
かぶり度:★★★★
東京証券取引所の上場基準
- ポイント
- 東証は、従来の各市場区分のコンセプトが曖昧であり、多くの投資者にとっての利便性が低い、新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低いことから、上場後も新規上場時の水準を維持する動機付けにならないなど、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが十分にできていないなどの課題を踏まえて市場区分の見直しに向けた検討を進め、2022年4月4日に、現在の市場区分を「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分に見直した。
なお、各市場のコンセプトは以下のとおりである。
プライム市場
多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
スタンダード市場
公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
グロース市場
高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場
- コメント
各市場の形式基準及び審査基準を押さえておいてほしい。 以下グロース市場の形式基準及び実質基準を記載しておく。グロース市場の形式基準において、成長可能性を重視するため、上場審査基準では経営成績・財政状態は問われていない点が他の市場と異なる点である。
形式基準
株主数 150人以上
流通株式数 1,000単位以上
流通株式時価総額 5億円以上
時価総額 −
流通株式比率 25%以上
収益基盤 −
財政状態 −実質基準
1.企業内容、リスク情報等の開示の適切性
企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること
2.企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること
3.企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること
4.事業計画の合理性
相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計画を遂行するために必要な事業基盤を整備していること又は整備する合理的な見込みのあること
5.その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項
かぶり度:★★★★★
不正競争防止法
- ポイント
- 不正競争防止法は、不正競争となる行為を禁止する法律である。これによって、特許法や意匠法、商標法などではカバーしきれない領域の事柄に対して、法律的な効果を発揮する。不正競争防止法の中でも代表的な、「周知表示の混同惹起」「著名な商品表示の冒用」「商品形態の模倣」「営業秘密の侵害」などはもちろん、「限定提供データ」についても要注意である。なお、「限定提供データ」は、技術上又は営業上の情報を保護するが、営業秘密は含まれない点は注意を要する。
- コメント
- 周知表示混同惹起行為(不正競争防止法2条1項1号)では、「商品表示性」が問われたことがあった。当該表示が、「商品等表示」つまり、ある商品を示す印として機能している必要があり、種類や方法を問わず、ある事業者の商品又は営業を表示するものであれば保護の対象となりうる。例えば、「人の業務に係る氏名」は「商品等表示」には含まれる。他にも「周知性(需要者の間で広く認識されていること)」、「類似性(商品等表示が、同一又は類似していること)」、「混同のおそれ(需要者が混同を起こすおそれがあること)」、といった要件も押さえておきたい。
また、著名表示冒用行為(不競法2条1項2号)では、周知表示混同惹起行為の周知性よりも全国的に需要者以外にも広く知られている「著名性」が必要であるが、混同のおそれは不要である点は注意を要する。
「限定提供データの不正取得」において保護される「限定提供データ」は、①「業として特定の者に提供する」(限定提供性)、②「電磁的方法により相当量蓄積され」(相当蓄積性)、③「電磁的方法により管理され」(電磁的管理性)の3つ要件を満たす必要がある。
さらに、平成30年改正により、不正競争防止法にビッグデータ保護制度が創設された当時は、他者と共有するビッグデータは秘密管理されるものではないと想定していたため、旧法では「秘密管理されていないビッグデータ」のみ保護対象となっていた。しかし、近年、自社で秘密管理しているビッグデータであっても他者に提供する企業実務があることから、令和5年の改正により、対象を「秘密管理されたビッグデータ」にも拡充された(令和6年4月1日より施行されている。
かぶり度:★★★★★
相続
- ポイント
- 平成30年7月に民法の相続分野の法改正があり、改正法では、遺留分返還方法については、遺留分減殺請求という形ではなく、遺留分侵害額の請求となった。
また、改正法では、相続人に対する贈与は、相続開始前の10年間にされたものに限り遺留分の基礎財産に含めることとなった。これにより、相続人に対し、相続開始より10年以上前に贈与された財産は、遺留分を算定するための財産の価額に含まれないことになる。
- コメント
- 遺留分侵害額の請求となったことで遺留分を金銭で返還してもらえるのであれば、計算も簡単で不動産が共有になることもなく、従来の事業承継の問題が残るおそれもなくなる。
なお、遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が、金銭を直ちには準備できない場合には、受遺者等は、裁判所に対し、金銭債務の全部又は一部の支払につき期限の許与を求めることができる。
また、相続開始後遺産分割がないまま長期間が経過すると、生前贈与や寄与分に関する書証等が散逸し、関係者の記憶も薄れてしまう。そうすると、具体的相続分の算定が困難になり、遺産分割の支障となるおそれがある。そこで、相続開始(被相続人の死亡)時から10年を経過した後にする遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)によることとなる、とする改正が令和5年4月から施行されている。この点も要注意である。
経営情報システム
かぶり度:★★★★
AI・機械学習・ディープラーニング
- ポイント
- AIは、人工知能のことで現代において必要不可欠な存在になろうとしている。現代のAIは機械学習から推論された結果を出力することができ、高度な判断、処理が可能となっている。この成果も、ディープラーニングと言われる深層学習の技術が確立したことが大きい。ディープラーニングは、人間の脳神経であるニューロンを模したニューラルネットワークによって作られており、複雑な処理判断が可能となる。最近では画像生成に適したディープラーニングモデルや、文章生成に適したモデルなどの生成AIへの活用も進み、業務においても活用度が高まっている。
- コメント
- AI・機械学習の論点は、ここ数年でも2問ずつほど本試験においても出題がある。この傾向はさらに強まることが予想される。生成AIの活用や、ディープラーニング技術について、さらにはそれを取り巻く社会的な課題などさまざまな側面での出題があり得るため、幅広く学習しておきたい。生成AIパスポート試験やG検定などのテキストを軽く見てみるのも対策としては良い。なにより現代のAIの活用について興味を持って接しておいてほしい。
かぶり度:★★
CPU・GPU
- ポイント
- CPUは、中央演算処理装置であり、従来のコンピュータの頭脳として使われてきている。GPUはその映像出力に特化した半導体装置である。特徴としては、CPUは複雑処理が得意だが、並列処理が苦手なのに対して、GPUは単純処理での並列処理が得意である。この特性を利用して、画像生成などのAI分野において、GPUが活躍している。GPUを一般処理に活用できるものを、GPGPUと呼ぶ。
- コメント
- AI・機械学習分野の出題傾向の高まりにあいまって、GPUの活用についても問われる可能性がある。世間的な半導体業界への関心の高まりもあり、かなり可能性の高い分野となっている。具体的には、NVIDIA社の時価総額がAPPLEを一時的に超えたということも激震を与えた。さらに、その委託生産工場である台湾のTSMC社の動向についても注目が集まっている。何かと話題の多い半導体について、しっかり試験での出題も想定しておこう。
かぶり度:★★★
DX
- ポイント
- DXはデジタルトランスフォーメーションであり、デジタル活用による改革を意味する。DX推進が言われ始めてから、自治体などでもDXがかなり進められてきた。DXを進めるのに際して、デジタルガバナンスコードやDXリテラシー標準、などのガイドライン系の資料も多く取り揃えられてきている。DXをスムーズに進めるためには、DX人材の育成やDXそのものの理解の促進、正しいDXの知識・ノウハウも必要である。
- コメント
- DXについての出題の可能性はかなり高い。DXとは何かという単純な問いではなく、DXを進めるための具体的な知識としてシステム開発やプロジェクトマネジメントを絡ませた知識を問うということも考えられる。また、ガイドラインなどの論点としての出題もあり得るため、一筋縄ではいかない可能性もある。しかし、DXに関連するところは重要度も高いため、なるべく幅広く学習しておいてほしい。
中小企業経営・政策
かぶり度:★★★★★
下請代金支払遅延等防止法
- ポイント
-
【法律の適用範囲】
親事業者と下請事業者の資本金額に着目する。
親事業者:3億円超→下請事業者:3億円以下
親事業者:3億円以下1千万円超→下請事業者:1千万円以下
【親事業者の義務】
①発注書面の交付義務:委託後ただちに、給付の内容・下請代金額・支払期日・支払方法等を記載した書面で交付する。
②取引内容記録を書類で作成・保存義務:2年間保存。
③下請代金の支払期日を定める義務:受領した日から60日以内かつできるだけ早く
④遅延利息の支払義務:受領した日の60日後から支払日までの日数に年率14.6%を乗じた金額を遅延利息として支払う。
- コメント
- 下請法については、法律の適用範囲と親事業者の義務しか出題されない。いわばサービス問題である。基準となる資本金額や、4つの義務、関連する数値を確実に押さえておくこと。
かぶり度:★★★★★
中小企業退職金共済制度
- ポイント
- 【対象者】
中小企業基本法の中小企業の定義に準ずる
【運営主体】
独立行政法人勤労者退職金共済機構
【出題ポイント】
①国の助成:あり
②一時貸付金:なし
③掛金:5,000円〜30,000円の16種類、全額非課税
④従業員ごとに共済契約を結び、退職後に従業員に直接支払われる
- コメント
- 共済制度については、中退共のほかに倒産防(セーフティ共済)、小規模企業共済の3つから毎年必ず1問出題される。選択肢は、各共済制度の内容がダミーとして含まれることが多く、3つの共済制度の違いに着目して横断的に理解をしておきたい。なお、これら3つの制度は1年ごとに順繰りに出題されており、2024年度は順当であれば中退共の出題年となるので、特に留意しておきたい。
かぶり度:★★★★
小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経)
- ポイント
- 【対象者】
常時使用する従業員が20人(商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は5人)以下の法人・個人事業主で、以下の要件をすべて満たす者
①経営指導員による経営指導を原則6カ月以上受けていること
②税金を原則として完納していること
③同一の商工会等の地区内で1年以上事業を行っていること
【対象資金】設備資金・運転資金
【貸付限度額】2,000万円
【担保・保証人】不要
【貸付期間】設備10年(据置2年)運転7年(据置1年)
【金利】低利
- コメント
- マル経については、頻出であるうえに細かい部分までさまざまな点が問われている。上記ポイント以外にも、商工会・商工会議所で審査後に推薦をもらうことや、日本政策金融公庫でも審査があること、1,500万円を超える貸付を受ける場合には、事業計画を作成し、経営指導員による実地訪問を半年ごとに1回受けること、なども押さえておきたい。
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