中小企業診断士 第1次試験は全7科目で、マーケティング・財務会計・法律・情報システムなどのビジネスパーソンに必要な幅広い知識を学習することができます。 ここでは新制度以降の受験データや第1次試験制度の詳細も解説いたします。受験の参考にしてください。
1.第1次試験概要
- 受験資格
- 年齢、学歴等に制限はありません。
- 試験形式
- マークシート方式による択一式試験
- スケジュール概要
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- ●出願期間:例年4月下旬から6月上旬(願書は最寄の診断協会より郵送可)
- ●試験実施:例年8月上旬(土曜日・日曜日の2日間)
- ●合格発表:例年9月上旬(解答は1次試験終了後数日以内に発表)
- 試験地
- 札幌・仙台・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・四国(松山または高松)・福岡・那覇の 10地区
- 受験料
- 14,500円(非課税)
- 試験科目
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日程 試験科目 配点 試験時間 1日目
(土曜日)A:経済学・経済政策 100点 9:50〜10:50(60分) B:財務・会計 100点 11:30〜12:30(60分) C:企業経営理論 100点 13:30〜15:00(90分) D:運営管理
( オペレーション・マネジメント )100点 15:40〜17:10(90分) 2日目
(日曜日)E:経営法務 100点 9:50〜10:50(60分) F:経営情報システム 100点 11:30〜12:30(60分) G:中小企業経営・中小企業政策 100点 13:30〜15:00(90分) - 合格基準
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- ①第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とする。
- ②科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とする。
- 合格率
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2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 申込者数 21,163 20,169 24,495 24,778 26,190 受験者数 14,691 11,785 16,057 17,345 18,641 合格者数 4,444 5,005 5,839 5,019 5,521 合格率 30.2% 42.5% 36.4% 28.9% 29.6%
2.試験科目ガイド
1日目
- 1 経済学・経済政策
- 大きく、マクロ経済とミクロ経済の知識が問われます。マクロ経済では、企業経営に強い影響を及ぼす、国レベルの経済的な動きを学習します。また、経営戦略やマーケティング活動の成果を高めるために、一個人や一企業の動きを分析するものが、ミクロ経済学です。
- 2 財務・会計
- 財務会計の知識は企業経営の基本であり、財務諸表等による経営分析は企業の現状把握や問題点の抽出のためには欠かせない知識です。本科目は、2次試験科目の事例Ⅳと関連しています。
- 3 企業経営理論
- 企業経営理論では、経営戦略論・組織論・マーケティング論の3分野についての幅広い知識習得が求められます。企業経営理論の習得は、コンサルティングにあたって必要不可欠であり、試験の花形科目とも言えます。
- 4 運営管理
- 「モノの作り方」と「モノの売り方」、双方の効率性を追求する科目です。作り方にあたる、製造工程や品質管理については「生産管理」で、売り方にあたる店舗施設や販売方法については「店舗・販売管理」で学習します。本科目は、2次試験科目の事例Ⅱや事例Ⅲと関連しています
2日目
- 5 経営法務
- いくつもある法律の中でも、企業経営に関係する法律、 諸制度、手続き等に関する実務的な知識が問われます。 具体的には法律家を活用するために、基本的かつ最低 限の実務知識を身につけることが目標といえます。
- 6 経営情報システム
- まず、情報通信技術(IT)に関する知識が前半の出題の中心です。後半では、情報システムを経営戦略や企業革新と結びつけ、活用できるように理解を深めます。
- 7 中小企業経営・政策
- 中小企業の経営実態や経営特質、大企業との相違が問われます。また、政策を活用できるよう、具体的な施策が問われます。他の資格試験でも類を見ない科目であり、まさに中小企業診断士試験ならではの科目といえます。
3.試験制度の詳細
1.合格基準
第1次試験に合格すると、第2次試験筆記式を受験することができます。その合格基準は、具体的に次のようになります。
- 全7科目の総点数が満点の60%以上だと第1次試験合格
- (ア)第1次試験合格の有効期間は2年間(合格年度含む)
- (イ)1科目でも40点未満だと不合格
- (ウ)科目免除申請を行うと、当該科目は受験を免除され、総点数から除かれます。
2.科目合格制
科目合格の基準は、次のようになります。
- 第1次試験不合格でも、60点以上を得点した科目は科目合格となります。
- (ア)科目合格の有効期間は3年間(合格年度含む)
- (イ)免除申請を行うと、第1次試験で当該科目の受験が免除されます。
- (ウ)第1次試験に合格すると、科目合格による科目免除申請資格はすべてなくなります。
科目合格制を利用して、第1次試験合格まで到達したパターンの例を次に示します。
3.他資格免除
特定の国家資格を有する場合、一部科目の受験を申請により免除することができます。特定の国家資格と免除対象科目の対応は次のようになっております。
科目名 | 科目免除対象者 |
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経済学・ 経済政策 |
公認会計士試験第ニ次試験 (旧試験も含む)において経済学を受験して合格した者 |
不動産鑑定士、不動産鑑定士補 (二次試験合格者を含む) |
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経済学博士 | |
大学等の経済学の教授・助教授(通算3年以上) | |
財務・会計 | 公認会計士、会計士補(会計士・会計士補となる有資格者を含む) |
税理士(試験合格者、試験免除者等) | |
経営法務 | 弁護士(司法試験合格者、旧司法試験2次試験合格者等) |
経営情報システム | 技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者 |
システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種、ITストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者 |
科目免除にはメリットとデメリットがあり、行使を迷われる方もおります。
メリットとしては、学習する科目が少なくなるので、他の科目の時間を費やすことができます。デメリットとしては、免除科目を得点源として活用できないことです。
科目免除するか否かで迷ったら、まずは前年の過去問題を解いてみて、どの程度得点できたかで判断をしてみましょう。