山中法律事務所
今野 佑一郎先生
- Profile
- 北海道大学、北海道大学法科大学院出身。入門講座〈柴田クラス〉を受講し、平成24(2012)年司法試験合格。修習地は札幌。現在も札幌に残り、山中法律事務所にて活躍中。
- 山中法律事務所
<所在地>北海道札幌市中央区北3条西7-715
<設立>1976年
<取扱分野>労務管理、不動産取引等
なぜ司法試験を勉強しようと思ったのか
法律家に触れる機会があり、紛争の解決に関わる職業へ漠然と興味を持っていました。
法学部に進学し、市民向け法律相談を行った際に、労働問題に触れ、法律の整備が実際の現場には十分に及んでいないことを体感し、法律家として紛争の予防や問題解決に関わっていきたいという思いから、弁護士を目指すようになったと思います。
法学部や法科大学院で司法試験に向けて勉強ができたのは、同じ目標を持つ仲間が、近くにいたことも大きかったかなとも思います。司法試験は、法律を使った問題解決という側面もあり、同じ問題でも、いろんな考え方やアプローチがあります。周りで勉強している仲間と話ができる環境があったからこそ、勉強を継続できたのだと思います。
現在の業務
大学での選択科目が労働法だったので、労働関係の事件をやりたいと思って試験勉強をしていました。ですから、特に力を入れている業務といえば、やはり労働事件になると思います。
労働者側での解雇問題や残業代の請求といった問題も多いです。ただ、これらの請求は、実際に裁判などの手続を経て初めて労働者が救済されることになるため、事後救済という側面があります。労働環境の整備を図るとなるとそこを「使用者側にも立って法律整備をすることが本当の意味での労働者の権利保護になるのではないか」と、思うようになりました。実際に、経営者の側で関わる際には、法的な知識や裁判になった場合の見通しを踏まえて、対応を検討していき、適切な問題解決を図っていくことを目指しています。
新しい分野として、非営利組織・NPO関係の法的支援を東京と札幌、名古屋で取り組んでいます。具体的には、著作権や労働管理のアドバイス。定款や規則等組織の内部の整備。それにイベントを催したときに会場で事故があったときにどうするか、その予防のための対応、対策等法的視点を交えてアドバイスなどを行っています。
仕事のやりがいと苦労話
仕事での責任は大きいですけど、個人対個人の関係で対等に話せることに「苦労」と同時に「やりがい」を感じますね。会社と消費者という形ではなく、個人レベルでの付き合いを通じて仕事をして、「ありがとうございました」と感謝の言葉を述べてもらえると、やはり嬉しいですね。あとは、やりがいというよりも、「面白さ」ってことなのだと思うのですが、会社の経営者、雇用者側の考えを直接聞けるのは面白いですかね、苦労も多いですけどね。
相談の際は、第三者的な視点から「法的にできること」と「法的にできないこと」を示すのですが、依頼者としては「そうは言っても、どうにかならないのか・・・」という気持ちになるわけですよ。トラブルの存在自体がストレスになるので、そこを一つ一つ聞いてあげて、アドバイスをしています。
「気持ちが楽になりました」と言ってもらえると、「法曹になって良かった」と思います。
札幌での業務について
札幌で弁護士登録をしたのは、大学と大学院、修習も札幌だったので、色々な人間関係を構築した土地だからです。大学院の同期と情報共有できますし、自分が受験生のころに先輩に教えてもらった分を後輩に返していきたいと思って、札幌で活動しています。大学や法科大学院の授業にも少し関わることができているのは、うれしいですね。札幌弁護士会も、委員会活動や研修など、会員の弁護士同士の交流も盛んで、先輩後輩問わず、同業として、関わることができる、とても良い環境にあると思います。
冬は雪も多く、寒い時期は長いですが、冬の楽しみも多いですね。家の屋根にたまった雪が隣の家の敷地内に入ってきて困っているという問題は、北海道という雪国ならではの事件だなって思いました。
これからのキャリアプラン
法的なリスクを現場に即して対処していくような、法的予防という側面に、広くかかわっていきたいと思っています。それが結果的に人間関係を壊さずに問題を解決することにつながることになりますし、このことは、会社全体、つまり、使用者側のみならず、そこで働く労働者にとっても、職場で安心して働くことができるという利益につながります。
法的な視点を取り込むことは、紛争の予防につながり、強い組織の基礎にもなります。もちろん、一個人の問題においても、先を見据えて対応をしていくことの重要性は異なりません。問題を適切に解決するためにも、できるだけ早い段階で関われる立場になれたら良いなと思います。気さくに法律相談をしてもらえるような弁護士でいたいと思っています。