行政書士の平均年収・給料は?
更新日:2022年6月8日
作成・監修者:二藤部 渉 LEC専任行政書士講師
- 目次
- 行政書士の平均年収・給料は?
- 行政書士の平均年収は500万円前後も、個人差が大きい
- 働き方による年収の違い
- 行政書士事務所で働く場合
- 弁護士事務所で働く場合
- 一般企業の法務部で働く場合
- 独立開業の場合
- 業務内容による年収・報酬の違い
- 他資格との年収の比較
- 弁護士
- 税理士
- 弁理士
- 司法書士
- 社会保険労務士
- 行政書士は低収入?士業なのに儲からない?
- 行政書士として年収を高める方法
- 報酬単価の高い仕事を中心に取り扱う
- ダブルライセンス、トリプルライセンスで専門性を高める
行政書士の平均年収・給料は?
行政書士の平均年収は500万円前後も、個人差が大きい
平成30年の行政書士実態調査における行政書士の年間売上高の統計をみると、500万円未満が全体の78%を占めており、もっとも多くなっています。それに次いで1,000万円未満の割合が11%と続いています。一方で2,000万円や3,000万円を超える行政書士もいますので、専門的な業務に特化して業務展開を行えば、大きく年収を伸ばす可能性があるといえるでしょう。
参考資料:日本行政書士会連合会発行 月間日本行政 2018年8月号 第551号
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働き方による年収の違い
行政書士事務所で働く場合
既存の行政書士事務所で勤務する場合、雇用形態は様々ですが、月額の給料は16万〜20万円程度が相場ではないでしょうか。行政書士事務所の求人広告などを見ても、この価格帯が多くなっています。ただ、勤務後、仕事に慣れて業務を自ら行うことが出来るようになれば、序々に給料も高くなっていくはずです。
弁護士事務所で働く場合
弁護士事務所で勤務する場合も、その雇用形態は様々ですが、パラリーガルとして働く場合には、20万円以上からとなるのが一般的のようです。
一般企業の法務部で働く場合
一般企業の法務部となれば、給料も勤務する会社の規模や売上高、上場企業かどうかによることになります。行政書士資格を持ちつつ、企業の法務部で働くことができれば、資格手当てを受け取ることができる場合もあります。
独立開業の場合
開業当初は、依頼者をみつけることも難しいので、売上は低調に推移する可能性が高いです。ただ、専門業務などが固定され、効率的に依頼者をみつけることができるようになれば、売上の向上につながっていくようになるとともに、収入も安定もしてくるでしょう。
業務内容による年収・報酬の違い
行政書士業務には様々なものがあり、報酬も業務内容や仕事量によって様々です。単価の低い仕事の場合(例えば、内容証明郵便の作成など)は、何個も仕事をこなして、報酬を稼ぐ必要があるのに対して、単価の高い仕事(例えば建設業許可申請や投資顧問業の登録申請など)は、ひとつの仕事を丁寧に行い、じっくり書類の作成をする必要があるでしょう。
他資格との年収の比較
弁護士
日本弁護士連合会の発行する2018年版の弁護士白書では、弁護士の平均所得は959万円となっています。近年弁護士の所得は低下する傾向にあるようです。とはいえ1,000万円に迫る額ですから、その所得は依然として高いといえます。
出典:弁護士白書2018年度版
税理士
令和元年度の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)では、現金給与額5,664,000円(年間)、年間賞与額(ボーナス)1,171,500円となっており、年収で平均約683万円という統計がでています。
弁理士
詳細な統計があるわけではありませんが、一般に弁理士の年収については500万〜700万がボリュームゾーンであるといわれています。実際の求人をみると、特許事務所や勤務先企業の規模にもよりますが600万程度のものが多くなっています。
司法書士
2019年版の司法書士白書によれば、平成29年分の年収(所得)について、400〜500万円未満と1000〜2000万円未満が共に14.6%の割合で、次いで200〜300万円未満という割合が12.2%となっています。
社会保険労務士
2019年度の賃金構造基本統計調査では、男性43歳、勤続年数12年で月収36万円、女性46歳、勤続年数約16年で月収28万円、賞与が80万円ほどとなっています。概算すると、男性の43歳の社会保険労務士で年収512万円、女性で年収416万円となります。
行政書士は低収入?士業なのに儲からない?
行政書士試験に合格し、登録をして開業したとしても、それだけで業務の依頼が来るわけではありません。独立開業となれば、自分で依頼を獲得していかなければならないのです。待っていても依頼は来ません。自分の事務所をアピールする広告を出したり、営業をしたり、人脈を広げたりして顧客を獲得しなければいけません。一定の数のクライアントを確保するまでは、事務所経営は楽ではないでしょう。開業当初は収入が少ない期間が続く可能性が高いので、運転資金はある程度余裕をもって確保しておくことをお勧めします。
1,000万を大きく超える年商・年収を得ている行政書士は多くいます。行政書士の平均年収の低さが話題になることもあり、不安に思われる方も多いと思います。
ただ、平均年収の低さの原因の一つは、専業ではなく様々な働き方をしている行政書士が多いことです。たとえば登録・開業しても行政書士としての実働がほとんどない方や、副業としている方、ほかの士業と兼業している方などは行政書士としての収入が少なくなります。これらを合算するとどうしても平均年収は低く見えてしまうというわけです。
行政書士の業務に関連する法令や制度をしっかり研究して専門性を高めたり、1つの業務に特化するなどしてほかの行政書士との差別化を図り、より多くのクライアントを得ることができれば、他士業に負けない年商・年収を稼ぐことは十分可能です。あなたの頑張り次第です。
行政書士として年収を高める方法
報酬単価の高い仕事を中心に取り扱う
報酬単価の高い業務を中心とすれば、それだけ事務所の売上も伸びることでしょう。日本行政書士会連合会の実施した令和2年度の報酬額統計調査では、建設業の許可申請、宅地建物取引業免許申請、開発行為許可申請、河川の開発許可申請、風俗営業許可申請などは比較的単価が高くなっています。
ダブルライセンス、トリプルライセンスで専門性を高める
司法書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格は、行政書士業務に隣接する士業といえるものです。これらの資格を持っていると行政書士業務を行ううえで、依頼者のニーズにこたえることができる範囲が広がり、ワンストップで業務を受けることができるので、高い報酬も見込めるでしょう。
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