司法試験予備試験のための大学生活を振り返って
I・S さん
年齢 | 21歳 |
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大学 | 岡山大学(法学部)4年 |
予備試験受験回数 | 2回 |
LEC受講歴 | 入門講座が含まれる予備試験・法科大学院対策向コース(入門講座・論文基礎力養成答練他) |
※年齢・大学在学中の有無は出願時を基準としています。
法曹を目指したきっかけ
高校2年生の時に、木村拓哉さん主演のドラマである「HERO」を見て、その中で描かれていた「自分の時間を割いてでも真実追求のために奮闘する」検察官の姿がかっこいいと思い、漠然と自らも法律家の仕事に就きたいと考えるようになりました。この段階ではまだ法曹三者のうち、「これになりたい」といったものはありませんでしたが、大学入学後、検察庁見学の機会にお会いした検事の方から、その職務内容について「被害者だけでなく被疑者の利益も考えながら適切に捜査・公判を進めていく」という説明をしていただき、対立する両当事者の利益を広い視野でとらえることができるという検察官の職務により一層の魅力を感じ、検察官を志望するようになりました。また、LECの講座を受講する前に入門書を読んだ際、「刑法」「刑事訴訟法」が分かりやすい、面白いと感じたため、その点も検察官を目指そうと思った要因の一つになっているとは思います。以上が、私が法曹(検察官)を目指したきっかけになります。
合格までの道のり
LECを選んだ理由
大学入学当時は、予備校を利用せずに基本書等を用いて勉強を進める予定だったのですが、周囲の友人や先輩、実際に上位のロースクールに行った方々の話を聞いていくとほとんどの人が予備校を利用しており、大学の講義のみで予備試験や司法試験を乗り越えることは難しいのではないかと考えるようになりました。また、自分の頭にも自信がなかったので、基本7法の体系的な枠組みを予備校の基本講座で理解した上で、基本書・判例百選等を読んで勉強していった方がよいのではないかと思うようにもなりました。そこで、友人がLECに通っていたこと、大学から近い位置にLECの岡山校があったこと、ネット上に上がっていた講義の無料公開動画での講師の説明が司法試験を意識しており比較的分かりやすかったこと、からとりあえず実際に話を聞いて情報収集してみようとLECに向かいました。そして、実際にLECの講座を見てみると、①他の予備校に比べて安価であったこと、②「入門講座・短答講座・論文講座・答練」、と段階的なカリキュラムが用意されていたこと、の二つが魅力的であり、3年間をかけてゆっくりと勉強を進めていけそうだと思えたため、LECを利用しようと考えました。また、③少なくとも自身が所属している大学の友人・先輩の多くがLECを利用しており、もしもLECの講義で分からなかった部分があったとしても質問・議論もしやすいだろう、と考えたのもLECを選んだ理由の一つです。今考えてみてもこの点はかなり大きかったと思います。実際、他の予備校を利用している友人たちは採っている学説や思考過程が異なっているという部分もあり、議論していても空中戦になることが多く、大変だったというのを記憶しています。さらに④LECには自習室も用意されており、大学の図書館が閉まっている時や自宅で集中できないときには、それを利用することができたというのも非常に大きかったです。最後に、⑤論文の講座においては、添削オプションがついており点数まで示されるということを聞いており、早い段階から「合格点を目指して答案を書く」という意識をもてる、というのも選択の理由の一つだったと記憶しています。
仕事や学業、家庭の両立のコツ
①大学の講義については、予備校の講義の復習をするような形で利用していました。大学の講義は大抵の場合、前日までに授業内容が明らかになるのですが、その該当箇所について予備校テキストを読み、基本的な論点の論証の確認、論文基礎力養成答練の問題の確認をすることによって、講義での教授の説明も分かりやすいものとなりました。そして、教授が発言した内容について、予備校テキストに載っていない部分については「応用事項」「+α」としてテキストに書き込むなどして情報の一元化を図るようにしており、家に帰ったら書き込んだ内容まで含めて復習する、という一連の流れを維持することで大学の講義と両立させていました。また、②大学1年次、2年次は塾講師のアルバイトをしていたのですが、その中で「現代文」の授業を中心的に担当することで論理的な思考力を日常から鍛え、仕事中でも勉強につなげる、というようにしていました。これは非常に大きかったと思います。論文式試験では、自分の思考過程を答案用紙に示すことで説明を求められますし、口述式試験では自分の言葉で説明を求められるのであり、いずれも自身の考えを論理的に示す能力が重要であるため、普段から「他人への説明を練習しておくこと」が必要になります。現代文は文章の読み方・答えへの行き着き方が人によってばらばらであるため、自身の思考過程を生徒たちに示し、納得するまで説明する、というのは上記の求められている能力に合致するものでありました。仕事中でも普段から、「論理的に考える」、「他人と会話して説明をする」という作業を怠らないことによって勉強と仕事を両立することが可能だと思います。さらに③勉強していた場所から帰ってきてからは一部復習の時間に充てていましたが、寝る30分〜1時間程度は趣味の時間に用いており、土日も22時以降はあまり勉強しないようにしており、少しの時間でもいいから趣味の時間を捻出するようにしていました。「法律の勉強をしない」という時間を少しでも捻出することで体調を崩すことなく勉強が継続できたのだと思っています。
受験勉強を通じて「失敗したこと」「成功したこと」
受験勉強を通じて「成功した」と思ったことは、早い段階からアウトプットを中心にした勉強ができたことだと思っています。インプットをすることも非常に大切ですが、「答案を書く→人に見てもらう(又は自分で添削する)→インプットをする」という方式の方が記憶に残りやすいですし、何よりも条文の典型的な適用場面というのは実際に問題を解いてみないと分からないため、このような方式を採ったことが予備試験合格につながったのだと思います。
一方、「失敗した」と思ったことは、まず判例百選をあまり使っておらず、予備校テキストでほとんどの勉強時間を過ごしてしまったことだと思います。受験生の大半が使っているものであり、予備試験でも百選掲載判例を参考にしたと思われる事案が出題されていたにも関わらず、「なんとかなるだろう」と考えて使用しなかったというのは後に控えている司法試験との関係で非常にまずかったと思います。また、勉強の際に学説について軽視しすぎたという部分があり、憲法の答案を書く際に「三者の立場で書く」というのに参考にする考えが見つけられなかったというのも「失敗した」点だと思います。
法科大学院入試対策
大学3年次に、志望していたロースクールの過去問のうち民法、刑法の問題を友人との自主ゼミで取り扱って論点の確認等をしていました。自主ゼミは2月あたりに終わったのですが、それ以降は予備試験の短答式があったため、5月末まで特にこれといった対策はしませんでした。予備試験の論文式が終わってからは、それまでの疲れ等もあり、ロースクール入試の2週間前までは論文を書くといったことはほとんどしませんでした。もっとも、予備試験の際に使っていた論証集を確認することは毎日継続して、知識が抜けてしまわないように注意はしていました。直前期には、「ロースクールの過去問を1日に一年度分まとめて解く→出題趣旨を確認して自己添削→論証の確認」を行うとともに、苦手科目であった憲法の対策として重要な判例に関しての読み込み、民事訴訟法については一行問題の対策として原理原則の定義・趣旨の確認を行って知識の整理をするようにしていました。
LECに通ってここが良かった
LECに通ってよかったと感じることは、入門講座によって大学生活の早い段階から基本7科目の基礎知識を習得できたことだと思います。大学でも先取りしている状態で講義を受けることになるので、非常に大事なところ・さほど重要でないところのメリハリをつけることができましたし、ゼミ等の判例報告の機会でも予備校で得た知識を前提に判例や資料を読み、そこに自分自身の考えを加える程度でよかったため時間的な余裕を持つことができ、勉強以外の時間を確保できたというのはかなり大きかったと思います。しかも基本7科目を一人の先生が教えてくださるので、その先生の論点の整理の仕方、問題検討の姿勢・思考過程を盗むことができたことも非常にありがたかったです。最初の入門講座でその点を意識して講義をしてくださる先生が多いので、入門講座を受けているだけで自然と問題検討の視点を知ることができ、「論文基礎力養成答練」のような論文の講座にすぐに移行できました。
今後の抱負
予備試験では上位合格という目標を達成できなかったため、司法試験では200位以内を目指したいと思います。そのためにも、予備試験で「一応の水準」に達していなかった科目の基本事項の確認及び事実評価の練習を、過去問検討を通じて行いたいと思います。