スロースターターの合格まで
T・Y さん
年齢 | 21歳 |
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大学 | 早稲田大学(法学部)4年 |
合格校 | 早稲田大学法科大学院(既修) 学費一部免除 一橋大学法科大学院(既修) |
LEC受講歴 | 入門講座が含まれる法科大学院対策向コース(入門講座・論文基礎力養成答練他) |
※本体験記は、合格発表日を基準として年齢等を記載しています。
法曹を目指したきっかけ
大学2年生の冬にウィーンや香港で開催された、国際商事模擬仲裁大会「Vismoot」への出場がきっかけです。国際取引上、需要が高まる簡易的訴訟形態、仲裁において、諸外国の学生とその技術を争います。世界大会側から与えられた架空事例の代理人となって、世界大会本番までの半年間、準備書面作成し、大会当日の仲裁人提示される60項にもわたる英文の事実関係・証拠書類を精査して、半年間の準備書面作成期間、当日の英語での弁論練習に励みました。ただ海外に滞在できるという動機で参加したプロジェクトでしたが、実際に架空事例の代理人として法律実務を体感して、法的主張の実現過程に非常に関心を持ちました。特に過去にあった社会的な事実それ自体は変えようがなくても、その事実の評価の仕方、それをいかなる法律にあてはめるか、そしていかに主張して判断権者の理解、判断につなげるかで、全く違う法的効果を依頼人に還元させ、そして不幸なはずだった依頼人の人生を変えることができる。過去の事実は変えようがなくとも、依頼人の法的地位はいくらでも変えることができる、という点で、つらく悲しい過去を変えることができないと嘆いていた私に光をもたらしてくれ、また法律実務家として活躍することで、このことを悩める多くの依頼人に伝えていきたいと感じて、弁護士になることを決意いしました。
合格までの道のり
LECを選んだ理由
正直のところ、ほかの予備校と比べて料金が安かったからです。しかし、進路に関わることなので、ほかの予備校との質も比べてみたところ、安いのに決して他校に劣らない、むしろ講義内容やテキスト内容が他校より充実しており、豊富な教師陣からの法律勉強のサポートも厚いという点に大きな魅力を感じました。さらに、決定的な決め手は窓口の方がどなたも親身になってくださるところでした。金銭的な事情や大学生活との両立に悩んでいる中、私に最適なプランや提案をしてくださり、また進路相談のため講師で弁護士の方に直接私とつなげてくださるなど、そのような対応にLECならこの先いろいろ悩んでも心強いとも感じました。
仕事や学業、家庭の両立のコツ
私は大学3年生の12月まで、サークル活動、ゼミ活動やアルバイトに没頭していたため、法科大学院入試に向けた勉強は一切していませんでした。スロースターターである私は、それから一年以内で、TOEICのスコアアップ、普段の学部授業におけるGPAの維持や各ロースクールに提出するステートメントなどの書類作成やメインの法律論述試験の勉強をしなくてはならないことに非常に焦りを感じていました。まず春休み2カ月間は何も予定を入れず、ほぼ毎日14時間程度の勉強をしていました。その中で、午前はTOEIC、午後は法律勉強、夜は適性試験の講座を受ける、という時間の限られた私は1日で3つのことを同時並行させていました。そして春休みの2カ月でTOEICのスコアは約200点上がり、苦手だった適性試験も何とか足切り点を超えることができるまでになりました。春休みも明け、4年では授業は週に一回だったので、それ以外は毎日15〜16時間家に閉じこもり、適性までは午前適性の過去問を解く、午後には法律勉強、適性試験後の6月からは法律勉強のみしていました。時間を必ず確保するために一日一回の食事時間は各30分、休憩は一日一回30分と決め、死守していました。勉強とほかのことを両立していたわけではなく、勉強だけに集中できた受験生活1年間でしたが、全く違った勉強の種類を両立されることはできていたと思います。ポイントは自分に与えられた机に向かうことのできる時間(食事、睡眠など生活に必要なことにとられる時間を除いた時間)を算出してみること、その時間をどう配分するか決めることです。よくやりがちなのは、時間を計算せず、やることリストだけを作成することで、確かに量より質重視の点には賛成しますが、一定時間に自分がどれほどの勉強がこなせるかを時間との兼ね合いで把握することで、その後の的確な学習計画にもつながります。
※適性試験は、2018年の実施はありませんが、学習の時間、配分などの参考として、適性試験に言及する部分もそのまま掲載しています。
合格された法科大学院を選んだ理由、法科大学院別にどのように対策したか
早稲田法科大学院は、学部生から知れる教授のもとで学習できるということ、奨学金制度が充実していることに魅力を感じて受験しました。入試問題は5科目(憲法、民法、刑法、民訴法、刑訴法)で、過去問を見る限り基本的発展的な知識を問われる問題がまんべんなく出る印象を受けたので、各科目、基本的な論証の暗記から始め、発展的知識は論証としてではなく各科目基本書2つ用意して、足りない知識をメモパットで論証集に追加していく作業を進めていました。問題の難易度は高くないといわれていますが、法律試験は難易度ではなくその知識があるかないかで0点か100点に分かれます。そして法律の知識は5科目だけでも膨大なものがあるので、難しい問題を演習していくのではなく、くまなく知識の習得に専念するべきだと思います。
一橋法科大学院は、少人数である点、司法試験合格率が日本屈指である点に魅力を感じたので受験を決めました。一橋の法律論述試験も5科目ですが、過去問を見ればわかっていただけるように問題の難易度も高く特殊な問題も多いです。「出題の趣旨」を見ると、出題者の方は未知の発展的な問題にどう対応するか、現場思考能力を問いたがっているという印象を受けました。したがって、未知の問題それ自体への対策はないので、各科目徹底的に基礎の基礎にさかのぼり、規範やその趣旨から未知の問題に対する新たな規範を解き起こすしかないと感じ、ある程度早稲田受験後、勉強が進んだあとでしたが趣旨規範本を丁寧に読み込みました。そして基本的な知識を網羅するため、各科目の判例百選レベルの事案はすべて暗記し直しました。これは早稲田の入試を終えてからの2カ月でやりましたが、発展的な問題ばかり解くのではなく、基礎に戻ってみる勇気も必要です。そのため、今年の刑事訴訟法の問題は、裁判員制度というマイナーな分野が問われ、暗記していたいわゆる論証パターンは一切答案に書きませんでしたが、基礎知識の組み合わせや、そこから発展的な見解を導くことに成功しました。
受験勉強を通じて「失敗したこと」「成功したこと」
まず成功したと思うことは、自分で法律の勉強の仕方を発見できた点です。今後きたる司法試験にあたり、自分にとって最適な勉強方法を確定させることが必要だと思います。勉強方法の向き不向きは、たくさんの方法を試してみるしかありませんが、それには時間も必要です。このロー入試期間で初めて自分の頭で「どうしたら法律ができるようになるか」試行錯誤して、時には不向きな勉強方法で効率の悪い時間を費やしてしまったことはありましたが、自分に適した勉強方法をいくつか、科目ごとに把握することはできました。
失敗したと思うことは、必要以上にネガティブになったことです。特に人一倍勉強したであろう適性試験の結果が、予想以上に悪く(平均点以下)、自分は何をやってもうまくいかないのではないかと自信を無くしながら勉強をしていた時期がありました。しかし、適性試験結果が悪かったからこそ法律勉強に必死になれましたし、その結果一橋に合格できているので、結果ばかりに不安を抱くのではなく、自分に起こることに無意味なものはないと辛い現実も受け入れてほしいと思います。
LECに通ってここが良かった
進路に悩んだ時、LECスタッフの方が講師である弁護士の方に直接連絡を取ってくださり、お話しできる機会を設けてくださるなど、講義やテキスト内容の充実などの法律勉強以外のサポートが非常に丁寧だった点です。今、弁護士を志しているのも、その紹介してくださった弁護士の方とお話しできたことにあります。
今後の抱負
まずは、一橋法科大学院で司法試験のための法律学修に励み、さらには法律実務家になるための法律学修と両立させたいと思っています。学部生ではゼミ活動で商事仲裁についてのプロジェクトに励んでいたため、今は漠然と企業法務に興味がありますが、法科大学院での生活を通して、具体的な法曹像を見つけることを第一優先にします。そして、この法曹を目指す出発点で、たくさん支えてくださったLECに、法律実務家としての活躍で恩返しできるよう、これからも努力を続けていきます。