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実態を反映していない判定

--つまり1次判定の設定が適切ではないと判断されたのでしょうか?
「我孫子市の認定審査会で、ひとつずつのケースを判定していく中で、痴呆性高齢者に関するコンピュータによる1次判定が必ずしも介護実態を反映したものになっていないことが分かってきたのです。
 他のケースの場合、原則的に1ランク変えることで大部分対応していけそうだけれど、痴呆性高齢者の場合、2次判定では、1ランクの変更を原則にできず、2ランク以上動かすことが多かったわけです。それが常態になると、審査会の中にある五つの合議体の間で、判定の結果
に格差が生じてしまう可能性があると考えました。つまり、コンピュータによる1次判定の結果を尊重して、1ランク動かすだけにとどめる合議体があったり、思い切って2ランク動かそうという合議体があったりと、同じ市でそのようなバラつきが生じることは絶対に避けなければなりません。そこで、合議体間で統一した判定が出るように内部的なルールとして、今回の指針を決めたのです」
--1次判定はなぜそのような設定だったのでしょうか?
「厚生省は3400ケースの高齢者を検証して、コンピュータソフトを構築されたそう


ですが、すべてのデータが施設入所者だったようです。そのような施設の管理体制は痴呆性高齢者が徘徊することを前提にしたものになっています。火の元などもないように注意されているわけです。確かにそのような施設であれば、寝たきりで、すべて介助しなければならない高齢者のほうが要介護のレベルを高く判定すべきかもしれません。しかし、在宅の痴呆性高齢者の場合、まったく状況が 違ってくるわけです。体が元気で、徘徊するという方の介護は、さらに大変なわけです。結局、このあたりがコンピューターソフトに反映されていないのではないでしょうか。
 厚生省のほうは、このくらいの介護が提供されるべきだという“べき論”ではなく、現在の実態を基準にしてソフトを作ったという言い方をされていましたが。」

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