プロパテント政策の下、国民の知的財産権保護と産業活性化が充分図られるためには、まず特許が有効活用されることと、特許に関する情報にスムーズにアクセスでき、容易に情報入手できることが不可欠である。
この場合、(1)未利用特許の迅速な開放、(2)大学等が所有する特許その他の知的財産権の開放、(3)特許情報の包括的なオンライン化が必要となると考える。
まず、(1)については、未利用特許の約3分の2が開放されているとのデータがある(平成7年度特許庁調べ)。
未利用特許が開放されると、開発研究投資をかけることなく他者の発明成果を利用できることから、資金力の乏しい中小企業やベンチャー企業には大変なメリットとなる。未利用特許活用例集を拡充し、開放目標を具体的に設定するなど未利用特許の迅速な完全開放に向けて、特許庁は必要施策を講じるべきである。
また、(2)については、日本の大学では特許出願、特許取得がアメリカほど盛んでない。これは、大学の発明者の身近に弁理士がいないため特許が出願されず、多くの産業技術ノウハウ、生物技術ノウハウが大学に眠っていることも確かである。
平成11年6月11日に政府がまとめた「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策」では、政府の保有する知的資産情報の民間開放を緊急課題としている。具体的には、政府及び国立大学、試験研究機関等が所有する知的資産情報(地理情報、道路交通情報、ゲノム構造等の解析情報、バイオ関係の研究成果情報等)その他の行政情報の民間利用を推進することである。
産業競争力強化を図る場合、国の知的資産へのフリーアクセス、フリーライドは当然の前提と言ってよい。
従って、民間からのアクセスの方法、開放時期について早急に具体化すべきである。
最後に、(3)については、特許庁により特許流通促進施策(特許流通フェアの実施、特許流通アドバイザーの派遣、特許流通データベースの作成、技術分野別特許マップの作成等)が重点的に行われているところである。
平成12年度特許特別会計概算要求によると、特許流通アドバイザーを120名に倍増させ、特許流通フェアを15か所に拡充する旨、特許の有効活用と情報の流通促進を図ることとなっている。
特許流通促進施策は、世界特許時代、電子特許時代の対応に欠くことが出来ない。将来的にも充分な予算を確保する必要があると同時に、国民への啓発活動を併行して実施すべきである。
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