現在、弁理士試験合格者のほとんどは、弁理士事務所(特許事務所)に入所し、早ければ3〜5年で独立開業に至る。司法試験のように合格者に対する研修制度がないため、新人の弁理士が独立開業に至るまでは、実務経験の豊富なベテラン弁理士の事務所で経験を積まなければならない。
思うに、企業活動のボーダレス化に従い、国際特許の需要は益々高くなると予想される。知的財産権に関する法制度が国によって異なり、各国特許独立の原則(パリ条約)が働く以上、弁理士は各国の特許制度について相当な理解を及ぼさなければならない。また、多国間条約の形態に限らず、日米、日欧といった関係で知的財産権の保護に関する条約が、今後多く制定、改正されると思われる。このような知的所有権に係る世界的な動向を把握し、実務能力に高めていくには、弁理士各々の個人的力量、フィールドワークでは限界がある。
従って、弁理士研修所を設置し、弁理士試験合格者に対しては国費で以て実務研修を行う制度を早急に実施すべきである。
弁理士研修期間は1年とし、年2回の入所時期を設けるなど柔軟な運用をすべきである。
また、他国の特許制度等の調査、研究を十分に行い、わが国の制度改善に反映させるため、海外視察制度を設け、希望する弁理士に対し、渡航費、調査費を全額補助すべきである。
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