↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 2000.vol.1



【提言 8】 弁理士事務所の法人化

 弁理士法には、弁理士事務所の形態規制に関する条文はない。

 しかし実態としては、特許事務所の名称で弁理士のみ、あるいは弁護士との共同業務の形態で個人事務所が開設されているにすぎない。現行弁理士法上禁止されているわけではないが、法人化されている特許事務所はない。

 個人事務所の形態である限り、次のような問題が起こり得る。

 特許権の有効期間は20年である(特許法第67条第1項)。最大5年の延長登録も認められている(同法第67条の2)。このような比較的長期の、しかも財産的価値が極めて高い特許権に関して、期限間際に特許権侵害が明らかになり訴訟提起の必要が生じた際、出願代理した弁理士が既に死亡していたり業務不能となっていたりしたらどうなるか。特許権者は改めて、特許明細書(特許法第36条第3項)などを用いて自己の特許権の内容を新しい担当弁理士に説明しなければならなくなる。もしこの場合、法人の特許事務所として、出願依頼人との関係が事実上継続しているとすれば、過去の出願事項もすぐ明らかになるし、スムーズな訴訟追行が可能となるであろう。

 従って、弁理士法第22条の3第2項を追加し、特許事務所の法人化、即ち特許法人(仮称)の規定を設けるべきである。

 また、特許法人の設立、経営については、アメリカのローファームを参考にすべきである。わが国の医療法人も同様であるが、経営責任と委任事務処理責任とを明確に分別し、複数弁理士による役割分担を行うべきである。

→Next

↑What's New ←目次 ←提言表紙
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 2000.vol.1
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.