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税制改革に対する五つの視点

−今年の税制改正に対する建議では、どのようなところに重点をおかれていますか?
  「現在、国や地方公共団体の財政状況の悪化が盛んに報道されるようになっています。われわれとしても、平成12年度末の長期債務残高が645兆円に達するという、たいへんな問題であると認識しています。この状況に対して、どのようなスタンスをとるかということですが、やはり最も重要なことは税負担の公平性の追求ということに尽きるのではないでしょうか。そのために、われわれは、応能負担と再配分機能が十分に発揮される税制を確立しなければならないと考えています。具体的にいえば、個人所得課税の累進緩和を通じた負担軽減と消費課税の適正化を図る、それによって所得、消費、資産それぞれのバランスがとれた税体系を構築する、そして、社会の構成員が広く負担を分かち合う税制にすべきであるということです」

−五つの基本的な視点をあげられています。それぞれについてご説明ください。
  「第一点は、『公平な税負担』です。これは税制の在り方を考えるうえで最も基本的な視点となるものです。税の公平には水平的公平と垂直的公平があります。水平的公平とは、同等の経済状況にある者が等しく税を負担することです。垂直的公平とは、異なる経済状況にある者に差異を設けて、より大きな経済力をもつ者がより多く負担することです。われわれは、このいずれにも配慮した税制にしなければならないという考え方をとっています。
 第二番目は、『国民にとってわかり易い税制』でなければならないということです。 これが現在の税制において欠けている部分ではないかと思います。納税者に対して、制度の目的や趣旨を明確に示すことができるような税制が求められています。


 第三番目は、『合理的な納税事務負担』です。とくに事業者は源泉所得税や消費税など、他人の税を預かって納付しているわけですから、その事業者の事務負担は最小限度にとどめるべきではないかと考えています。
 四番目には、『時代に適合し得る税制』の必要性です。国際化、少子・高齢社会などの時代に対応する税制の実現が求められています。とくに低迷している景気を考えますと、経済の活力を発揮させるための有効な税制が必要だろうと考えています。
 五番目が、『透明な税務行政』です。納税者と税務行政庁の間に信頼関係を築く必要があるわけで、税務行政の執行に関して公正で透明な手続き規定を整備する必要性があります」



 
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