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企業法務
契約関連の業務の重要性

特許関係以外ではどのようなことが法務部の業務になりますか?
    小島
    契約関係があります。営業取引関係として、対顧客・対ベンダー、製品売買・共同開発・ライセンスに関するものなどがあります。営業取引関連以外ではファイナンス・不動産購入・建物賃貸借・人材紹介・建物建設などです。
特許と契約の違いはどのような部分にありますか?
    小島
    特許は自分たちの権利であり、いわば“攻め”に使えるわけです。それに対して契約はどちらかといえば、“守り”で使うものです。
端的にいって、日本とアメリカでは、契約書の厚みが違うのではないですか?
    小島
    全然違います(笑い)。日本の法律は行政指導であるとか、契約書では「両者協議の上云々」という記載があるくらいで、どちらかというと、話し合いで決めることが多いわけです。アメリカの場合、契約書だけでなく、法律自体もかなり事細かなところまで決まっているわけです。日本の場合、例えば、装置の売買でトラブルが発生したときなど、民法で解決しようとしても、代金の支払い期限の定めが法律に書かれていない。あるいは法律は概要だけで、細かいところまで定めていないため、法律で解決しようとすると、曖昧なところが出てくることもあります。われわれは外資系ですから、アメリカの本社に説明することがありますが、「日本の法律のどこに書いてある?」と言われると、どこにも書かれていないというようなことが往々にしてあるのです(笑い)。
法務部においても営業取引関係の業務の重要性が増しているということでしょうか?
    小島
    はい。日本国内だけで企業活動をするのであれば、それこそ話し合えば、どうにか解決できるかもしれませんが、今まさに本格的なグローバル化の時代を迎えようとしているわけです。そのグローバル化という言葉が意味するところは、やはりアメリカン・スタンダード化です。アメリカは契約社会ですから、決めるべところはきちんと決めておかなければならない。そういう姿勢でいませんと、これからは本当にビジネスが立ち行かなくなるでしょう。まして、われわれは外資系ですから、その部分をきちんと行わなければならないと実感しています。
よくも悪くも、これまでの日本は商取引であっても、口頭で済んだような部分もありますが、国際化を迎えると、そうはいかない部分もあると?
    小島
    そうですね。今後、権利意識のはっきりした日本に外国企業がいっそう入ってくるでしょうし、日本企業にしてもここ数年で、大きく意識を変えつつあるようです。権利意識が強くなり、これまでのように、なあなあの商取引慣例は通用しなくなるのではないかと感じています。日本企業の法務部も、取引契約はこれまで以上にきちんと行っていくことになると思います。
細部に至まで決めておく契約文化も、いったん馴染んでしまえば、理に適っているとお感じになりますか?
    小島
    はい。結局、曖昧にしておいても最終的には何らかの形で決着はつくのですが、時間がかかるわけです。また、しこりが残る可能性もある。であれば、事前にすべては決められないにしても、ある程度のところまでは話し合っておこう。日本企業でも、そのような意識が出てきているようです。それこそ昔なら、取引先の方にそのような話をすると、「水臭いじゃないか」となったものですが(笑い)、最近は「それもそうだな」ということになりますから。
特許、契約の他、法務部の業務としてはどのようなものがありますか?
    小島
    労働法・独占禁止法・証券取引法など法律にかかわる業務があります。

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