弁護士と隣接法務専門職との関係でお聞きします。例えば弁護士による業務独占などによって、不便をお感じになっていることはありますか? |
小島
直接、そういう事態に直面したことはありませんが、将来、もし問題が生じたさいのことを考えますと、変えていくべきではないかと思います。弁護士法72条を根拠として、弁護士は訴訟の代理業務を独占しているわけですが、政府の行政改革推進本部の規制改革委員会がまとめた「公的な業務独占の見直し」に関する見解案にそった制度改革を行うことが望ましいと思います。弁護士だけに広い独占職域を認めて、どんなことでも弁護士だけが、顧客のニーズに応えるのではなく、他の専門家にも職域の一部を開放して、分野ごとにそれぞれの専門家が対応することで、一貫したサービスが受けられるようにしたほうが依頼者にとっては便利です。例えば、弁理士により広く法廷での活動を認めることなどです。仮に知的財産権の問題が起きたとき、法廷技術では弁護士がいいでしょうが、中身の議論となりますと、やはり弁理士のほうが強いと思います。現在も弁理士は補佐人という立場で出廷することができますが、代理人という立場で出られるようにしたほうが、弁理士としても、当事者として、力の入れ方も変わってくると思います。そういう意味合いからも、隣接専門職が今の弁護士の職域に入っていくことができるように改正していただきたい。そのことで、われわれ民間企業の者も仕事を進めやすくなるでしょう。
御社も、弁護士、弁理士それぞれと仕事をされていると思いますが、現在はそれぞれ別々の事務所と契約されているわけですか? |
小島
そうですね。これはすべての会社がそうではないと思いますが、われわれはアメリカ企業の100%子会社ですから、必然的にわれわれがお願いする弁護士事務所も大きな弁護士事務所になるのです。その弁護士事務所が国際的なネットワークを張っていませんと、本社としても、コントロールが利かないのです。そのため日本でも、一定の規模以上の弁護士事務所と契約することになるわけです。
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