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企業法務
企業内の法曹資格の意味

アメリカの本社の法務部には何人くらいの弁護士の資格者はいますか?
    小島
     法務部の人員は60〜70人くらい。その中で弁護士資格をもつ人が40人くらいはいるでしょう。
企業の法務部で、弁理士などの資格を取得する意味はありますか?
    小島
    それは大いにありますね。仮に私のところに若い社員が来て、「資格を取りたい」と言えば、そうさせます。司法書士でいえば、商業登記などはすぐに役に立つわけです。民法では債権法関係は契約に役に立ちます。  また資格が直接的に会社の実務で役立たなくとも、取るまでの過程で勉強したことがすごく役に立つことがある。それが大きな意義だと思います。また、資格を有することは、外部の専門家との連携という意味においても、メリットがあります。
弁護士と企業法務部の機能の違いはどのようなことでしょう?
    小島
    民間企業の法務部が法律の分野で競っても、法律だけを専門にやっている法律事務所にはとてもかないません。法律の専門家としては弁護士のほうが強いわけです。われわれ企業の法務部の者に求められているのは弁護士と同じレベルで法律を理解していることではありません。この会社においてどうしたらいいか、法務の観点からの意見を求められたときに、何らかのアドバイスをすることが使命です。つまり、「右手に法律、左手にマネジメント」というくらいのバランス感覚を持っていないと、企業法務にいても役に立たないということではないでしょうか。
弁護士が企業内で活躍することについて、どのようにお考えでしょうか?
    小島
    非常に望ましいことだと思います。以前、私は金融系シンクタンクで働いていたのですが、そこには弁護士の有資格者がいました。当時、企業の中に弁護士がいたのは日本IBMなどごくわずかでした。確かに法律分野の純粋に法的な部分を担当させるのであれば、やはり弁護士は有能です。また新しく立法されるときなど、その法律をこの会社にどのように取り込んでいけばいいかなど分析しなければならないわけですが、そのような仕事はさすがに見事に行います。ただ、結論を出すとき、法律的観点と併せてビジネスという観点も忘れてはならない。弁護士が企業の法務部に入るなら、それをどううまく調整するかが課題でしょう。
最後に、企業法務の将来について、展望をお聞きかせください。
    小島
    今後、企業法務はますます必要性を増していくと思われます。グローバル化が叫ばれていますが、アメリカをはじめとする諸外国は日本より法律的に厳格と考えほうがいい。それと付き合っていくうえでも、企業の法務部は重要です。日本国内をみても、商法などは平成に入ってからでさえ、何回も改正されて、そのたびごとにますます複雑になっています。さらに企業、個人ともに権利意識が高まっています。企業としても法的観点からのリスク管理はこれまで以上に重要となるでしょう。民間企業において、それらの問題に対応するのは他でもなく、法務部です。法的知識を有し、かつマネジメント・センスをもつスタッフで構成される法務部の重要度はますます高まる。それにともなって、法務部員の能力向上 は必須となり、それぞれの自己研鑽もいっそう大切になっていくはずです。


プロフィール

小島 昇氏 小島 昇 こじま・のぼる
昭和21年4月7日生まれ、東京都出身。
昭和44年、早稲田大学法学部卒。
       金融系シンクタンクを経て、
平成2年より現職。


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