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戦後50年間の矛盾が現れている

-- 社会保険の制度も、派遣の現状に適していないという意見があるようですが?
「社会保険の問題は労働組合側が派遣法を規制しようとする根拠のひとつです。一般労働者派遣事業で登録型の派遣労働者の場合、保険の適用を受けないわけです。雇用する側も保険料を払わなくていいので、チープ・レーバーになってしまう。  要するに現在の社会保険制度は、常用雇用労働者しか念頭に置いていない制度になっているのです。厚生年金保険も2カ月以上働いていたら、強制適用という厳格な規定があります。

これを順守すれば、派遣労働者を大量に受け入れる会社などでは、事務処理を担当する部門は保険の切り替えをしなければならず、業務は停滞してしまうでしょう。労働者も、手続きが面倒で保険料を払いたくないという矛盾ある制度です。
 厚生年金も雇用保険並の弾力的な運用にして、途中、雇用期間に間隔があいても、継続したものとする、みなし適用を導入するなどの配慮をしないと、事実上、脱法行為を奨励するような事態になってしまいます。さらに年金制度でいうと、本来であれば、基礎部分を税法式にするなど制度を抜本的な見直しが必要


でしょう。労働基準法だけでなく、社会保険制度の改革も求められている、極めて奥の深い問題なのです。
 労働基準法にしても、社会保険制度にしても、日本の現行制度は固定的な雇
用慣行による常用雇用労働者を対象としたもので、多様な働き方は想定していなかった。戦後50年間の矛盾が現れていると思います」

注 「労働委員会」  労働組合法第4章に定められる専門的な独立行政機関。その権限としては、不当労働行為の審査と救済を中心とする判定的機能と労使間の紛争の斡旋・調停・仲裁にあたる調整的機能がある。

 
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