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アクセルとブレーキを同時に踏む

-- 時代の変化を受けて、いよいよ需給調整機能が民間に開放されようとしています。昨年12月、改正労働者派遣法、職業安定法が施行されましたが、両法をどのようにご覧になっていますか?
「今回の法改正は自動車に例えるなら、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような印象を受けます。
 アクセルというのは、今回の改正をもって、初めて正面から労働市場を認知したことです。職業安定法でいえば、これまで職業紹介は基本的には国家統制とされ、民間の有料職業紹介所は例外的に許された業務だけを扱っていたのですが
、今回の改正で、原則自由となり、建設や港湾などの例外規制が設けられました。  派遣法も同じで、これまで、ポジティブリストの26業務だけ限定的に認められていた対象業務が原則自由になりました。そのことは高く評価できると思います。  同時に踏んでいるブレーキというのは、職業安定法にまだ価格統制が残っていることです。職業紹介の手数料には2種類あります。労働者を紹介してもらった企業が払う手数料と、紹介してもらう個人が支払う手数料です。企業が払う求人手数料については、これまで徐々に自由化が進み、届出制になっていま


す。『著しく高い時は指導する』という一部、許可の要素を残した届出制ではありますが。いまだに規制をかけているのは『あまり高い手数料を取ると、それが労働者に転嫁される』というまさに名目のための名目のような理由からです。私は原則自由でいいと思います。基本的には、労働者を求める企業とそれを紹介する企業の間のビジネス取引であって、政府が口を出す性質のものではありません。
 それでも企業から取る手数料は事実上、形式的な届出制になっているのですが、より大きな問題は、例外の職種こそあるものの、原則的に働者からは紹介手数料を一銭たりとも取ってはいけないとする規制です。ILOの理念である『労働は商品ではない』(フィラデルティア宣言・1944年)と同じことで、企業に紹介することで、労働者から金銭を取るという行為は不道徳だという、これはもう一種の信念のようなものでしょう(笑い)」

 
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