-- はじめに日本の労働市場の現状分析についてうかがいたいと思います。
「基本的にこれまで日本の労働法制が想定していた労働者は常用雇用労働者でした。典型的なタイプとしては、企業に勤める男性の正社員で、妻子を養っていて、終身雇用で、組合にも入っている。そのような労働者を対象として法制度だったわけです。
ところが、そのような固定的な雇用慣行が当然とされていた状況が急速に崩れて、過去のものになろうとしています。パートタイマーや派遣、請負といったタイプの労働者が増えて、今やそのような非正規労働者、つまり終身雇用の対象とならない労働者は
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全労働者の4分の1以上に達していると言われています。
もうひとつの傾向として、労働組合の組合員の比率が低下していることがあげられます。現在、推定組織率は約2割にまで落ちているのです(労働省「労働組合基礎調査」、過去最高は昭和34年の55.8%)。
かつては典型的な労働者と目されていた組織化された常用雇用労働者の割合が下がって、女性の派遣労働者であるとか、定年退職後の高齢者のパートタイマー、若年のフリーターというように働き方の多様化が進んでいる。それが現状です」
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