-- その多様化が生じたのはどのような理由によるものでしょうか?
「労働力の需要面と供給面それぞれに要因があります。まず需要面では、サービス化・情報化の進展など経済・産業構造の変化にともなって、特定の職場でのみ使える技能ではなく、どの企業でも通用する技能が求められるようになっています。
これまで一般的だった固定的な雇用慣行のもとの常用雇用型という働き方は、製造業における工場労働者が典型的でした。そのような職場では、長期的な雇用の中で、労働者の技能が形成され、熟練していきます。また自動車工場と家電工場では当然、求められる労 |
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働者の能力が異なります。そのため、その職場でこそ通用するような特種な能力が形成されます。労働経済学では『企業特殊的熟練』といいますが、そういう技能を要する業務では、労働者にとっても、企業にとっても、長期雇用が望ましい働き方だったわけです。その結果、労働の移動性が低いという傾向があったのです。
さらにサービス産業の発展などによっても、労働の多様化が求められています。24時間営業のコンビニエンスストアが典型的ですが、営業時間が長くなっているため、一人の常用労働者だけでは到底カバーできなくなっています。同時に、労働時間は短くなる傾向がありま |