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派遣法の適用除外の妥当性

-- 派遣法の適用除外についてはどのように思われますか?
「医療を適用除外したことも私は疑問に感じています。医療を除外した論理は『病院は人命を扱うところだし、職場に正規と非正規の労働者が混ざっているとチームワークが乱れ、患者の生命が脅かされる』というようなことです。仮にそうなら、生命にかかわる手術などについては派遣労働を用いないようにすればいいだけの話です。
 医療機関には患者の生命に関わらない仕事もたくさんあります。育児などのために看護婦も辞めた人もいるわけで、 派遣で看護婦として働きたいというニー
ズはあるわけです。今の医療機関で、患者の取り違え事件などの医療過誤が発生する背景のひとつに看護婦の超過勤務があります。病院にはピーク労働があり、朝食時が最も忙しいといいます。そういうピーク時に派遣の看護婦を雇うようにすることは病院経営上も効率的ですが、そういう道が閉ざされています。規制の根底には参入を制限することで、賃金を維持したいという意識が働いているのではないでしょうか」
-- 士業の派遣については、いかがでしょうか?
「業界が強いという点では、医療の世界と似ているようですが(笑い)、士業の派


遣を禁じる理由は、士業は自営業であって、指揮・命令を受ける派遣という形態に馴染まないということですが、そもそも需要がないというなら、禁止する理由には意味がありません。
 規制についてつけ加えますと、この問題に限らず、これから労働市場が原則自由となって、正当な理由がある時だけ規制するようになれば、規制する側がそ
の必要性について立証責任を果たしていただきたいと思います。そもそも規制を緩和しないうちから、自由化した後に問題が起きないことを立証するのは不可能です。これまでは自由化を主張する側に立証責任が転嫁されていました。それがあらゆる面で規制緩和の進展を阻害しています」


 
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