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フリーターの増加

-- 少子化対策としては、どのようなことをお考えでしょうか?
「日本が迎える少子社会では、追加労働供給量が極端に減っていくわけです。その対策として私が一番意識したのは女性問題です。女性が子供を生み、育て、しかも色々な生き方を選択できる社会をどのように作っていことが重用なポイントです。今回の提言でも、『個人が主体的に働き方を選択できる社会の実現』という項目で、女性労働対策を重要な柱のひとつとして位置づけています」
-- 若年層の問題として、いわゆるフリーターの増加が話題になっています。これについては、どのようにお考えです
か?
「近年、若者の失業率は高く、15〜19歳では15%を超えています。20〜24歳も10%に近い失業率です。私たち日本労働研究機構では、少子化対策の一環として若年層の雇用・就業・職業選択行動に関する調査を実施しました。  最近10年間で、東京都と神奈川県では、高卒のうち、無業者の比率が就職者を上回っています。またいったん就職しても、簡単に転社する人が増えています。多くは会社都合ではなく、自己都合による退社で、次の就職先のあてもないまま、フリーター市場に流れ込んでいるのです。“パラサイトシングル”という言葉がありま


すが、親と同居している人が多いことからも、安易に離職していると思わざるをえません。  私はフリーターを全面否定するわけではありません。それもひとつの生き方です。目的意識をもってフリーターをしているのであればいいのですが、計画も目的も無くフリーターをしているようでは、職業能力は磨かれません。次のステップに行くことができる仕組みを用意する必要があります。  問題はなぜ、それほど多くの人が高校卒業後、フリーターになっているかです。大学の新卒者にしても今、無業者が20%に近いわけです。  私はその根底には教育問題があると思います。高校から社会、大 学から社会、そこがうまくつながっていないのではないでしょうか。若いうちは職業選択について、いろいろ迷いや疑問があると思います。その人の生涯に関わる問題でもあるのですから、職業や産業に関する的確な情報を提供したり、カウンセリングに応じるといった公共サービスの整備をすることが必要でしょう」
-- 若い人は、適職が分からないということでしょうか?
「“荒れる学校”とか“学級崩壊”と教育現場の荒廃が社会問題化していますが、その最大の原因は、過剰な進学競争にあると思います。高校進学率が97%という国など、世界のどこにもありません。高


校に行かなければいけないという風潮がありますが、受験勉強は嫌いだけれど、手先は器用だとか、料理人になりたいという人それぞれ適性があるわけです。そのような多様な才能を伸ばせるコースをできるだけ多く用意するべきです。
それが無ければ、日本のモノ作りの伝統が消えてしまう心配もあります。モノ作りの人材育成には10代前半からトレーニングしなければならないものもあるわけですから」

 
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