使いませんでした。もちろん『移動』という言葉は使っています。人間であれば当然、住居移動もすれば、職業移動もするわけです。しかし移動する際も、生じる摩擦を可能な限り少なくするために、政策を講じなければならない。そういう問題意識をもって提言をまとめました」
-- 『流動化』という言葉が流通している背景として、使用者側に『流動化』を求める意識があるのかもしれません。
「経営者の本音は分かります。大企業といっても、全社員が優秀ではないわけです。会社にとって良い人材が3分の1、可も無し不可も無しが3分の1、あとの3分の1は早くお引取りいただきたい人、 |
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そのような採用をすれば、 その人事課長 は有能だと言われるくらい、採用は難しい(笑い)。とくに今、経営者が心配しているのが、バブル景気のときに水膨れ採用した30歳代の社員でしょう。当時の経営者が社員の採用でミスを犯したわけです。ここをいかに選別するかに懸命で、労働力を『流動化』したいというのが多くの経営者の本音だと思います。しかし私は簡単に労働者を解雇するような企業のほうが高く評価されて、株価が上がるというのは不健全な状況だと思います。経営者は人を雇った以上、それについて経営責任を負うべきだという思想を私はもっています」
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