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地域の福祉機能の再生

--企業の他、福祉に関して、住民にも果たすべき役割があるとお考えですか?
「昭和40年代以降、高度経済成長下の福祉を見たとき、不幸だったことは、その時期に、地域の教育機能と福祉機能が完全に喪失してしまったことです。
 昔は、隣にどういう子がいるか分かっていたし、何かあれば、大人が声をかけた。そういうことが少年の不良化であるとか、犯罪を犯さないためのかなりの歯止めになっていたと思います。それが今の社会では、見ても見ぬふりになってしまっているのではないでしょうか」
--高齢者福祉についても、地域の福祉力の低下という現象が悪影響を及ぼしているとお感じになりますか?
「介護保険制度を議論する会議の場で、『介護保険のサービスは足りない、これでは、地域で生きていかれない』という声がありました。では、具体的にはどのようなサービスが足りないかというと、例えば病院の予約とか、安否確認とか、食事を時々作ってあげるようなことだというわけです。
 考えてみれば、昔は、そういうことは地域の中で当然のように行っていたもので


す。朝、隣家の高齢者が起きてこないと、どうしたのだろうと、ひと声かけたものですが、それだけでも、安否確認になっていたわけです。福祉の施策ではなく、人間として当たり前の行為だったわけです。そういうことがなくなってしまった。地域福祉機能というように大袈裟な言い方をするまでもなく、本来、隣に一人暮らしの高齢者が住んでいれば当然、気にかけるべきではないでしょうか。
 また、そういう社会があることが、地域の教育機能にもつながっていくと思います。地域の福祉機能と教育機能とは連
動しているのです。そのような地域作りをしていくことが、青少年の教育にも、かなり良い影響をもたらすのではないかと思います」
--そのような地域機能を再生するために、どのような施策を講じていますか?
「『参加して支える世田谷・地域保健福祉社会づくり』ということで、身近な地区における区民同士の基盤としたネットワーク作りによる、寝たきり予防などを世田谷型の支えあい活動として位置づけて、推進しようとしています」


--マニュアルのような施策を実施するだけではいけないと?
「福祉に関して、何かニーズが出てきたといっては、ボンと政策を実施する。ただそれだけでは、後に何も残りません。それでは文化にならないと私は思っています。なかなか難しいことでしょうが、根本的な対策としては、地域の福祉機能の再生をどうにか実現していかなければならないと思うのです。そういう地域社会というベースがあった上に、ボランティアなどの組織が機能する。さらに民間事業者や第3セクターがそれぞれ活躍する。そういう福祉が望ましい形であり、長続きする形なのではないかと思います」

利用できるサービスの種類と内容
サービスの種類
在宅での介護
訪問介護(ホームヘルプサービス)
通所介護(デイサービス)
訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション(デイケア)
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所養護介護(ショートステイ)
訪問入浴
訪問看護
居宅療養管理指導
福祉用具の貸与・購入費の支給
住宅の設備改修
痴呆対応型共同生活介護(痴呆性高齢者グループホーム)
有料老人ホーム等における介護


施設での介護
特別養護老人ホーム
老人保健施設
療養型病床群
サービスの内容
ホームヘルパーが家庭訪問し、入浴・排泄・食事などの介護や身のまわりの世話をする。デイサービスセンターで入浴・食事の提供、その他の日常生活上の世話や機能訓練をする。理学療法士や作業療法士等が家庭訪問し、日常生活の自立を助けるための機能訓練をする。老人保健施設・病院等で心身の機能の維持回復や日常生活の自立を助けるための機能訓練をする。
介護が必要な方を短期間特別養護老人ホーム等の施設で介護や日常生活の世話をする。
老人保健施設等に短期間入所し、医学的管理のもとで介護や機能訓練その他必要な医療、日常生活上の世話をす。
家庭訪問し、入浴車や浴槽を持ち込んで入浴の介護をする。
看護婦や保健婦が家庭訪問し、療養上の世話や必要な診療の補助を行う。
医師、歯科医師、薬剤師等が家庭訪問し、療養に関するアドバイスを行う。
特殊ベッドや車いす等の貸与や、入浴・排泄等用具の購入費用を支給する。
家庭での手すりの取付け、段差の解消等小規模な改修費用の一部を支給する。
痴呆性高齢者の入浴・排泄・食事等の日常生活上の世話や介護を共同生活で支える。
有料老人ホーム等に暮らしている要介護者に、入浴・排泄・その他の世話をする。

常時介護が必要で家庭での生活が困難な場合に入所する施設。
病状が安定し、リハビリを中心とする医療ケアと介護を必要とする場合に入所する施設。長期にわたって療養を必要とする場合に医学的管理のもとで介護や必要な医療を行う施設。◎要介護度によって、保健で受けられるサービスの費用には上限があります。
◎それぞれのサービスには単価が設定されます。
◎介護支援専門員が本人、家族等と相談して、介護サービスの適切な組合せを行います。

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