--日本の福祉行政は今、転換期にあるということでしょうか?
「歴史的にみれば、措置制度という経過があって、やむをえなかった面もあったでしょうが、やはりこれまでの福祉の流れを変える時期だと思います。
現在の福祉の出だしには、終戦直後という特別な社会状況がありました。路上には親がいなくなった子供が大勢いる。とにかくその子供が死んでしまわないように、どこかに施設を用意して、入れなければならない。あるいは戦争で夫を亡くされ、子供を抱えている女性に生活保護を受けさせなければならない。戦争から傷ついた体で帰ってくる身体障害者をどうにかしなければならない。
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そのような逼迫した状況の中、福祉はどうあるべきだ、将来どうするべきだというような理念を議論する余裕も時間もなかったのです。それぞれの福祉施策は連携もなく、とにかく場当たり的に実施されていきました。しかし、これは決して非難ではありません、当時の時代状況では、そうなってしまうことも当然だったといえるでしょう。
問題はその後です。ある程度、社会が落ち着いた段階、少なくとも高度成長の時期になった当時には、それまでの路線を変更するべきだったと思います。それがないまま、終戦直後の制度がずっと引き継がれていまった面があるのです」
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