↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 通巻 192号

特養で3割の個室を確保

--世田谷区はこれまで高齢者福祉に関して、どのような取組みをされてきましたか?
「全国自治体と比較しましても、世田谷区はかなり早くから福祉の問題、とくに高齢者福祉に積極的に取り組んできたという自負があります。
 昭和60年には、区としての福祉の基本的な方向を打ち出しました。その際、社会福祉事業大学元学長の三浦文夫先生においで願いまして、高齢化から少子化までを含め福祉全般についての基本的な方向に関するご提言をいただき、基本的にはこれまでそれに沿った取組みを行ってきました。
 また昭和62年には、高齢対策室を設置しました。高齢化に対する取組みを専門に行う部署としては、恐らく全国自治体で始めて作られたものではないでしょうか。
 現在では、高齢者福祉で特徴をもった施策を打ち出している自治体も多くなっていますが、一時は“東の世田谷、西の神戸”とも言われましたように、世田谷区は福祉についてリーダー的な役割を果たしてきたと思っています」
--具体的にはどのような施策を実施されてきましたのでしょうか?
「特別養護老人ホームにしても、区立の施設がふたつありますし、現在、三つ目


の施設を建設中で、間もなく完成する予定です。23区でも区立の特別養護老人ホームが三つあるというのはあまり例がないのではないかと思います。
 施設の内容の点から見ましても、個室を多く取るなど、充実したものになっています。当時、特別養護老人ホームについては、とにかく収容できる量を確保することが先決だとされた時代だったわけですが、厚生省とも話し合いながら、単に収容するだけの施設ではなく、できるだけ自宅の延長のような感覚で利用していただける施設にしたいという狙いをもって推進しました。当時は『量が先ではないか』など、ご批判もありましたが、関係
各位のご理解もいただき、3割の個室を確保することを実現できました。誰にも気兼ねなく、生活できる特別養護老人ホーム施設を建設するという役割を他の自治体に先駆けて、果たしてきたつもりです。
 高齢者用住宅についても、昭和55年から取り組み、3カ所建設していますし、東京都の住宅政策としても、その第1号を世田谷区が実施しています」
--世田谷区において、なぜそのような福祉の充実が可能になったとお考えですか?
「率直に申し上げて、やはり財政的に恵まれた自治体であったということが大き


いと思います。補助金などの財源で賄える範囲の福祉であれば、どこも大差なくできるわけですが、世田谷の場合、区民のみなさんの担税力のレベルが非常に高いこと、それから福祉に対する区民の考え方にシビアなものがあったと思います。そのふたつの効果があいまった結果ではないかととらえています」

→Next

↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 通巻 192号
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.