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トップリーダーが語る社労士の道 金田 修 先生

社労士業界のトップリーダー 全国社会保険労務士会連合会会長 金田 修 先生 に「未来を切り拓く社労士(社会保険労務士)の道」についてお話しいただきました。

全国社会保険労務士会連合会会長 金田 修 先生

全国社会保険労務士会連合会会長
金田 修 先生

PROFILE
法政大学経済学部卒
1972年 金田労務管理事務所開設
2003年 社会保険労務士法人東京労務に組織改編
現在に至る
【公職歴】
2003年 東京都労政事業評価委員会委員
2007年 総務省年金記録検証委員会委員
2009年 厚生労働省年金記録回復委員会委員
【団体歴】
1997年 全国社会保険労務士会連合会理事
1999年 全国社会保険労務士会連合会常任理事
2003年 全国社会保険労務士会連合会副会長
2009年 全国社会保険労務士会連合会会長 現在に至る
【賞罰】
2000年 社会保険庁長官表彰
2004年 厚生労働大臣表彰
2007年 藍綬褒章受章

社労士人気の理由

社労士試験の人気の高まりについて、どのようにお考えでしょうか。

社労士試験の受験申込者数は、昨年が過去最高の70,648人、今年が約67,700人と、非常に多くの皆さまに社労士試験の申込をいただいております。

社労士試験の人気の高まりということですが、社労士制度が成立した昭和43年頃から、漠然とではありますが、これからの社会人は何かしらの専門性を持つべきだという方向性を皆が持っていたように思います。専門性を持つべきだという考え方は、新しいことではないのですが、平成に入ってからの状況・・・特にこの10年間をみますと、日本企業は世界市場との競争の中で、どのように効率を上げ、生産性を向上させるかと考えたときに、終身雇用制、年功序列制度など、いわゆる日本的な労使関係をそのまま維持していける状況ではなくなりました。

そのような中で、当然の流れとして雇用の流動化(転職者・離職者が増加する現象)が始まりましたが、賃金など労働条件の引き下げや解雇に直面したり、或いは、大学を卒業した方の就職率が過去最低になるという昨今の雇用環境のもと、「自分自身に専門性を身につけていかなければならない」ということが、漠然としたものからはっきりした実感に変化してきたのではないでしょうか。

それは、社労士に限らず、士業全体に関わる専門性の追求に繋がると思うのですが、専門性を身に付けないと自分の将来が見通せなくなっている、そういう不透明な時代だという明確な実感の中で、資格制度に挑戦する方が増えてきているというのが全体的な構造であると思います。

社労士が特にという話になれば、社労士が取り扱う法律や業務が国民に直結した部分を領域としている為、身近に感じられるのだと思います。自分自身に関わる深い知識が得られるということもあって人気が高まっているのではないでしょうか。

社労士の業務とは

社労士の業務とは
社労士の業務といえば、労働保険、社会保険の手続業務や労務管理のコンサルティングをイメージする方が多いと思いますが、現在社労士会の取組みとして力を入れて推進している業務はあるのでしょうか?

社労士会では、既存の業務の充実・発展と併せ、業務領域の拡大を目指し、各種事業を進めています。その中で、連合会では平成23年度の重点事業として「第8次社労士法改正に関する事業」、「労働条件審査の推進に関する事業」を掲げて取組んでいます。

「第8次社労士法改正」について教えてください

社労士の本来業務は、日頃の労務管理を通じて、紛争を未然に防止することです。しかし、最近の雇用環境や経済状況により、個別労働紛争が起きやすくなっている現状があります。そこで紛争が起こってしまった際に、迅速に解決する制度として、社労士法第6次法改正で「あっせん代理権」が認められ、第7次法改正で特定社労士制度が設けられたことで、紛争の解決に向けた業務を取り扱えるようになりました。ただし、「あっせん」は、双方が納得することで解決するものですが、納得に至らなかった場合には打ち切りとなり、労働審判や裁判に至るケースも多くあります。

そこで、社労士として、紛争を未然に防止することで社会に貢献し、万が一、未然防止に至らず紛争になってしまった場合に、それを自らの職責をもって解決する権限を付与していただきたいとの考えで、第8次社労士法改正として、労働審判の代理権、簡裁の労働に関する訴訟代理権を求めているのです。

労働条件審査について教えてください。

地方公共団体において入札制度の公平化・透明性を目的に、一般競争入札が導入されました。一般競争入札は基本的に価格勝負になりますので、安い価格を提示した会社が落札します。すると、会社としては入札価格を下げるために、労働条件を引下げ、人件費を削減せざるをえません。つまり、労働条件の悪い会社が、公共事業を請け負うという悪循環が生まれてきたのです。そこで、一部の自治体は、入札の要件として、賃金額など労働条件の最低条件を定める方向性が出てきています。今後、この流れは全国的に広がっていくことが予想されます。ここで必要となってくる労働条件の審査について、労働社会保険諸法令の専門家である社労士の業務として定着させるための取組みを進めています。

勤務社労士の存在価値

社労士には登録区分として開業のほか、勤務等がありますが、勤務等は開業とどのように違うのでしょうか。

勤務社労士は、社労士登録者数約36,000人のうち、14,000人と、実に登録者数の3分の1を占めています。今後、勤務として社労士登録される方には、是非、自分が勤務している会社の労働法令の遵守状況(労務コンプライアンス)を審査するという観点で、自分の企業に貢献していくことが、その企業の発展に繋がることに自覚を持っていただきたいと思います。

勤務社労士と開業社労士の違いというのは、実のところ、殆どないのです。開業社労士が多数の会社の労務管理等に関わるのに対し、勤務社労士は自分の勤務する会社の労務管理等に関わっているという違いだけです。ですから、開業社労士が行う業務は、当然、勤務社労士が勤務先できちんと行うべき業務であるという理解をしていただければと思います。

勤務社労士の中には、1号2号業務などの手続関係には自信があるが、企業人事の根幹に関わる部分、例えば人事制度などの責任ある業務は苦手な人が多いと聞いたことがありますが、手続だけが社労士の業務ではありません。やはり、「人」の専門家である社労士として、人材育成や人事制度の見直しによって、企業を活性化し、生産性を向上させるコンサルティングに積極的に取組んでいただきたいと思います。

勿論、コンサルティングばかりで手続が適正に行われなかった結果として、紛争が起きてしまったのでは、社労士の業務をきちんと遂行しているとは言えません。まず、社労士の基本は法律を理解し、法律の運用を知りながら、その上でコンサルティングの業務をできる、そういう人材を会員の中に増やしていくことが一番大事だと考えております。

社労士の関与率

社労士が会社に関与している割合はどの程度でしょうか。

社労士の主な顧問先となる中小企業は、日本の企業数の99.7%、約430万社で、雇用の約7割を占めています。開業社労士の関与率(全ての社会保険適用事業所に対する、社労士が手続業務で関与している事業所数の割合)は、現在のところ、3割程度とみていいと思います。連合会としては、この関与率向上に向けて様々な施策を実施しているところですが、一番の鍵となるのは広報活動だろうと感じています。常に社労士の存在・業務・必要性等々をアピールしていく状況を作ることが重要であり、国民の皆さま、経営者の皆さまに、社労士に業務を委託することのメリットをお伝えすることが関与率向上には必要になってきます。

将来的な展望はいかがでしょうか

東日本大震災の発生や世界的な不況の中、特に中小企業にとっては厳しい経営環境が続いています。今後、経営の3大要素である「人」の部分である労働者の解雇や、労働条件の引き下げによる日本経済の停滞が懸念されます。短期的には一時的な業績の回復が可能ではあるものの、中長期的には、高い技能を持った人材の流出や、残った労働者のモチベーション低下を招くことのリスクは企業の存続を危うくする可能性があると考えています。また、少子高齢化による労働力人口の減少や、3割を超えた非正規雇用など就業形態の多様化、紛争の増加やメンタルヘルス、ハラスメント問題など、会社として労務管理の見直しに取組む必要性が出てきました。ここまで述べてきた課題は全て社労士の業務の範囲ですので、経営を支える「人」、そして労務管理の専門家である社労士に求められる役割は今後ますます重要性を増してくると考えています。

社労士に求められる資質・能力

社労士に求められる資質・能力とはどのようなものでしょうか。

社労士に限らず、士業全般に言えることですが、士業として社会から信頼を得るためには2つの要素があります。

一つ目は専門性の追求です。法律関係の士業としては、当然、法律知識の研鑽を積んでいかなければなりません。もちろん、頻繁に行われる法令改正に対して常にアンテナを張り、対応していくことも必要です。

二つ目は倫理です。社労士には「品位の保持、知識の涵養、信頼の高揚、相互の信義、守秘の義務」という倫理綱領があります。この倫理は江戸時代の武士をイメージしていただければと思います。「武士は食わねど高楊枝」という諺があり、意味としては、窮したとしても誇りを捨てるなということです。では、誇りとは何かといいますと、武士には武士道という倫理があり、その倫理について教育されていたのが武士だと思います。このような武士の倫理と同様、社労士として職業倫理を徹底することが信頼性を生み出す二つ目のキーワードになろうかと思います。

社労士の素晴らしさ・大切な点

これから社労士を目指そうという方に、メッセージをお願いします。

社労士は、国民の皆さまの生活に関わる一番身近な士業として、社会性から考えてみても非常に将来性がある仕事なので、是非、頑張って挑戦してもらいたいと思います。雇用問題然り、年金問題然り、こういった社会の問題に正面から取り組めるのが社労士の強みです。

人に関わる仕事なので、大変なことも多いですが、その分やりがいや、お客さまに喜んでいただいた時の満足感は格別です。ひとりの社労士として、私はこういう方向性で労務管理を行うことが企業の成長に繋がるという、信念を持って取組んでいくことが社労士としての成功に繋がる道だと思います。

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