言うけれど、裁判官だけが忙しいのではありません。それ以上に忙しい弁護士も多いのです。さらに考えてみれば、学校の先生だって、サラリーマンだって、忙しいということでは同じです。しかし、なぜそんなに忙しくしているのか、って考えることが必要ではないでしょうか。
また、その人生を見ても、裁判官は3年ごとに全国を転々としながら、出世して、総括になり、最高裁の判事を目指すわけですが、その点、サラリーマンにしても、入社してから双六のように全国を回って、最終的には東京の本社に戻り、役員になることを願っている。まったく同じようなものなのです。上り双六人生ですね。
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撮影が進むにつれ、ここに写し出されていることは、裁判官の世界だけの問題ではないと思い始めました。そして、この映画が日本社会そのものを考え直すきっかけになるのではないかと考えるようになったのです。司法の世界は日本社会のひとつの典型なのです。裁判所という日本で最高のエリートとされる人たちの職場はこうです。あなたの職場はどうですか? と問いかけ、観た方が、『同じじゃないか』と感じていただくところがあれば、成功だと思います。この映画が司法の分野に限らず、世の中を変えることに少しでもつながれば、うれしいですね」
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