↑What's New ←目次 ←討論表紙
0 1 2 3 4 5 6 7 8 2000.vol.1

特集2 司法制度改革3
他の士業に訴訟はできるか

反町
次に隣接法律職についてお聞きします。司法書士、税理士等との業際問題が問われています。司法書士とは以前から協議されていますが、簡易裁判所の訴訟代理権、法律相談が問題になっていると思います。これについてどのようなスタンスですか?
    吉野
    この問題は規制改革委員会でも意見が出されていますし、司法制度改革審議会でも議論されるでしょう。非常に難しい問題ですが、これについて「基本的提言」にはっきり打ち出したのは、弁護士には法律事務独占があるのだから、それに伴う責務を十全に果たすということです。これについては、弁護士過疎地域問題に対する法律相談センターや公設事務所の設置、知的財産権や税務訴訟など専門分野についての業務の充実などを考えています。また仮にこれまで不備な点があったとすれば、襟を正して、一生懸命、職責を果たさなければならない。改めて各々の弁護士の自覚を求めるということです。
     もうひとつは他の法律専門職との共同作業化を進めることです。互いに協力していくことについては、日弁連としても、それほど異論の無いところです。
     課題は、弁護士業務の一部を他の士業に認めるか否かということです。司法書士でいえば、簡易裁判所における代理権、弁理士なら特許侵害訴訟の代理権、税理士は税務訴訟の出廷陳述権ですが、その問題については、これから十分に議論していかなければならないと思います。
反町
それを認める上で、ネックになるとお考えになる点はどのようなことでしょう?
    吉野
    ネックというより克服すべき問題というべきかも知れません。「ギルド的」とのご批判を受けるかもしれませんが、他の士業の方が訴訟分野に参入する上で難しいのと思われるのは、訴訟とは戦うことであるという点です。簡易裁判所、特許侵害訴訟、税務訴訟などの代理権はいづれは戦う仕事です。ときには大企業とも、国家とも争わなければならない。また、相手が監督官庁であろうと自分の依頼者の利益のためには戦わなければならない。少しもひるんだりしてはならない。そのためには、少なくとも優れて独立した姿勢を常にもって仕事にあたり、かつ独立した職業であり、かつ資格に相応しい習練を積むことが不可欠です。他士業の団体もできるだけ独立した自治権を取得すべきと私は思っています。訴訟まで行かなくても、自分の依頼者のために相手と戦うというスタンスがありませんと、依頼者に大変なご迷惑をかける可能性があります。法律相談にしても、間違った場合の責任という問題を十分に考えなければなりません。その責任を負えるだけの自覚と教育、習練を備えて相談業務を遂行することが大事であると私は考えています。

→Next

↑What's New ←目次 ←討論表紙
0 1 2 3 4 5 6 7 8 2000.vol.1
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.