反町 先日、話題の映画『日独裁判官物語』を拝見しましたが、それによれば、ドイツでは参審制度がうまく機能しているということです。審議会の「論点整理」でも、国民の司法参加ということで、陪審・参審制度の導入の検討が挙げられています。これについて、どのようにお考えでしょうか? |
吉野
ご存じの通り、ドイツは連邦制国家で、裁判所は完全に分権化され、裁判官も一定地域に根づいて活動しています。そのような体制のもとでは参審制度もおおいに効果を発揮すると思います。しかし、日本のように中央集権的に最高裁判所がすべての裁判官の転勤や昇級を統括する制度では、参審制度を導入しても、たんなる裁判所の補助手段で終わってしまうのではないでしょうか。
日弁連としては国民主権に基づく司法を再構築するという観点から、「市民による司法」のもうひとつの柱として、より民主的な手続きである陪審制度を優先的に考えています。具体的には、まず刑事重罪事件について陪審制を導入することです。さらに刑事軽犯罪事件、国や自治体に対する損害賠償請求など一定の民事事件に陪審制、少年事件に参審制の導入を検討することを提言しています。
反町 A.D.R.(裁判外紛争処理機関)が発達して、それを活用することになれば、その影響も大きいのではないでしょうか。A.D.R.的制度とともに、法曹一元が拡充、徹底してくれば、陪審、参審も地区ごとの制度になっていくでしょう。 |
吉野
確かに陪・参審制度は法曹一元とセットにして、どこまで改革していくかということにも大きく関わりますね。
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