−通達が支配する現状が『簡単・明確性の原則』に反するということですか?
「日本の税の体系は複雑怪奇な法令と、その解釈のための膨大な通達で固められているわけです。ここで、どうしてもそれを一度、解きほぐす必要があります。誰にでも理解できるような、『簡単・明確性の原則』に基づく税の体系でなければ、国民としても、税制を理解することによって、進んで納付する気持ちになれないと考えます」
−なぜ税制はそのように複雑になってしまったのでしょう?
「見直しについて一度もきちんとした論議をしないまま、強制と妥協の産物として、あれも取り入れる、これも取り入れるという形で作られてきた結果だと思います。
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また新しい法律ができるとき、執行する側と、執行される側とで、はっきりと意見を戦わせるという図式がないということです。あるいは国会などで意見の対立はあっても、その討議が国民に見える状態でされていないところに問題があると思います。見えない場所での議論では、細かい部分について、どうしても、なあなあの関係になることもあるでしょうし、不明瞭な部分については、通達で埋めればいいという裁量的な考え方に流れてしまうのではないでしょうか。
税の体系を、一部のエリートのみが分かる複雑怪奇なものにしていてはなりません。租税法律主義の観点からも、通達でなく、法令のみで処理できるような、思いきって簡単・明瞭な制度を採用するべきです」
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