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税金の問題からの日本離れ

−このまま思いきった改革をせずに、現行の制度のまま税率を変えるような改正を続けた場合、どのような事態が考えられるでしょうか?
「税制調査会の報告にも出ましたが、消費税の税率はこのままでいけば、いずれ最低でも10%にはなるでしょう。やがて15%、20%と、歯止めがないまま、どんどんアップしていく状況になれば、国家の存在意義そのものを危うくするような事態を引き起こす可能性があります。『日本離れ』ということです。その兆しはすでに見え始めています。個人、法人を問わず、日本を脱出したいという要求がだいぶ感じられるようになっています。日本は法人税の税率が高く、もちろん人件費も世界一です。コストの高い国から離れて、より低いコストで活動したいという動きが出初めているのです」


−グローバルな競争の時代になれば、その国の税制は、法人や個人を自国に呼び込むうえで、重大な要素となるということでしょうか?
「そうです。先進的な企業トップは税もひとつのコストとしてドライに見ます。そう考えれば、これまでは海外に工場や子会社を作る形でグローバル化に対応していた企業が、それでは、コスト削減が間に合わなくなって、本社ごと海外に移ってしまい、税の面でも、メリットを得ようと考えるところが出てきています。今後、いっそうグローバル化が進展すれば、税制の問題から日本を見捨てる企業が続出する事態も十分考えられるのです」



−時代の変化ということでは、ネット上の企業活動にどのように課税していくかという課題もありますね。
「税調の提言などでも、ネット取引に対する課税を課題にしていましたが、実は、それは最初にアメリカで言われ始めたことです。ネット販売をされると、州税が取れないというところから出てきた考え方です。アメリカではそのところを、ほぼ諦めてしまったということも聞いています。ネット売買でも、これまでの個人輸入のレベルですと、消費税、関税がかかりません。
企業が営利目的で、一定の商品や材料をネットで購入することが当たり前の時代になってきますと、日本では消費税の問題、アメリカでは州税の問題がどうしても出てきます。ところがアメリカが半分、諦めかけているような状態ですと、日本だけが課税できるのかといえば、それは難しいと思います。そのように時代は急速に変化しようとしているのに、それに対応するための、税制の大きな改革ができないことが問題なのです」



 
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