−税制を変革するうえで、どのようなことを原理・原則とすべきでしょうか?
「税制決定の租税原理とされるのは、租税は法律及び政令にのみ構成され、決定されるという『租税法律主義』であり、それに基づく租税原則として、『社会的衡平(公平)性の原則』『コスト経済性の原則』『簡単・明確性の原則』の三つがあるとされています。『社会的衡平(公平)性の原則』は税の負担について社会的公平性を欠いてはならないということです。『コスト経済性の原則』は税制の施行にあたってコストの経済性を考慮するということ。『簡単・明確性の原則』は税務の体系はいたずらに複雑なものであってはならないということです」
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−それらの原則から見て、現在の日本の税制をどのように評価されるでしょう?
「まず『社会的衡平(公平)性の原則』ですが、消費税が施行されたとき、『公平な税ではない』という意見が出ました。ところが、国税当局は、老いも若きも、富める者からも、貧しき者からも、一定レートでとるから公平なのだという説明をしました。
これについては、税の応益負担原則である水平的公平を採るか、税の応能負担である垂直的公平を採るかで、意見が別れるところですが、少なくとも海外諸国における付加価値税を見れば、そういう一律の水平的公平という考え方をとっていません。例えば、フランスの付加価値税は高級自動車や毛皮や宝石などについては税率を高く設定して、一方、食料品などにはかけない制度になっています。それに対して、日本の消費税は生活保護を受けている人が購入した食料品についても取るわけで、果たしてそれを不公平といわないのかということです」
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