−日本の税制における最大の問題は、どのような点にあるとお考えですか?
「自由主義と独裁主義では国の支えの根本が異なります。日本は自由主義経済、民主主義の体制をとる国家です。民主主義体制の国家であれば、国民が主人公となって進んで体制を支える仕組でなければ、国家としての存在意義がないはずです。また民主主義体制である以上、国と地方とは対立する関係ではなく、対等の立場であり、協調し合う関係にあるべきです。しかし、現実には、それらのことは建て前でしかなく、戦前から今日にいたるまで日本はずっと中央集権的な体制といえます。つまり中央政府がきわめて強大な権力をもち、地方自治体はあくまで従たる地位に置かれています。
|
|
税制というのは、国家政治体制の産物です。そのため日本の税制もまた中央集権主義的な古い形態を採っています。地方自治体が国からの交付金に支えられ、それをあてにしているような体制は、もはや健全な民主主義体制とはいいがたいとさえ思います。
このような日本の国と地方の関係に対する疑問の声は、もうだいぶ以前からあがっています。例えば、大前研一さんは全国を現在の都道府県より、もっと大きな、いくつかのグループにわける、道州制を主張されていますが、私もその方向に賛成しています。小さい中央政府と大きい地方自治体との合衆国という体制が、今、洋の東西を問わず求められている国家体制と見るからです」
|