岡崎 それは分かりません。強くなったロシアがどのように動くかにかかっています。ロシアが中国の脅威を感じれば、日本になびくでしょうし、逆に中国と組んで、日米に対抗するかもしれない。色々な可能性があります。アジア情勢は複雑で、先が見えにくい。将来の中国の軍事力、統一朝鮮の行方、極東ロシアの動向、すべて不確定要素です。いわば独立変数がきわめて多い多元方程式です。ところが、解く方法さえ知っていれば、これもまた何でもありません。この複雑な多元方程式で、何が一番大きい値かといえば、日米同盟です。両国は軍事力で優位にあり、技術力もあり、 |
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経済力にいたってはほとんど独占状態といっていい。アジア諸国が欲しいのは、資本と技術と市場ですが、日米はそれらすべてをもっています。いかに独立変数が多い複雑な方程式であろうと、ある変数が圧倒的に大きくて、安定していれば、他の変数を重視する必要はありません。ですから、対アジア外交を考えるときは、まず日米同盟の安定を考えることです。中国政策、統一朝鮮政策、ロシア対策にしても、日米同盟を強化することで対応できます。 外交というのは巨視的に見れば、きわめて単純なのです。それを小さなことばかり議論するから、かえって分からなくなるのです。
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