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既存の行政システムとの連携

−中央省庁でもいよいよ本格的な政策評価の取り組みが始まっています。総務庁では政策評価の標準的ガイドラインの最終案が今年12月に出される予定です。行政評価法策定の動きもあるようです。それに期待されることは?
「どのような形でまとめられるか、たいへん興味深いところです。もちろんガイドラインや法律で、在り方や方向性を示すことは大切ですし、類型的な問題を抱えている場合、それらが道標になることがあると思いますが、ガイドラインや法律に沿って評価すれば、それで良いということではなく、やはり実際に評価を行っていって、必要だと
感じたこと、発生した問題などについて、揉みながら、作り上げていく制度でなければ、実効性に欠けると思います」−中央省庁で政策評価を取り入れるとき、制度上、どのような点が課題になると思われますか?
「それぞれの省庁で自らの評価を実施して、さらに総務庁で統一的な評価をされることになると思いますが、それを連携させる体制をどのように作っていくかは、なかなか難しい部分だと思います。  実は、これから国で抱えようとしているその問題と同じような問題を都道府県はすでに経験しています。各部門の既存の行政システムに、評価


システムをどう組み込んで、統一的な運営をしていくかという問題が発生しているのです。
 総合計画の進行管理は企画部が行う、予算については財政部、行政評価そのものは政策調整的な部門で行ったり、土木は土木で、独自に公共事業の再評価をしたりと、それぞれの部門が独立的に評価の業務を実施するわけです。それを、どのようにうまく連携させようかというのが今、多くの都道府県が抱えている課題です」

−それに関して、市区町村では、状況が違うのでしょうか?
「都道府県と市区町村とでは、行政評価の手法にしても、考え方にしても、それほど異なるものではありません。しかし組織の規模が大きいだけ、どうしても県のほうが動きづらくなります。県の規模になりますと、検討会議のような組織を作っても、実際にそれで動かして行くのは難しいのです。どこかがとりまとめて、それぞれの部門の意見を聞きながらやっていくことになります。それが市区町村ですと、各セクションが同じウエイトで、連携して、調整会議のような形で、一緒に制度を作っていくという体制がとれます。私たちの実態調査でも、小さい自治体ほど行政評価制度を


導入しやすい傾向にあるということが分かりました。人口規模が小さいほど、役所の組織も小さくて、フットワークが良いということがあります。また首長の意向が伝わりやすいということが考えられます」

−市区町村の導入の状況はいかがでしょうか?
「自治省の調査では全国3240市区町村のうち、導入が52、施行が43、検討中が940となっています。市区町村には、検討すらしていないところも同じくらいの数がありますから、現状は二極分化しているといえます。地域的にいうと、東高西
低の傾向が見られます。また西は進んでいるところは非常に進んでいますが、まったく取り組んでいないところも多く、自治体間の温度差が激しいといえます」



 
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