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導入目的の明確化が必要

−三菱総合研究所では、自治体における行政評価制度の実態調査をされたそうですが、都道府県の導入の状況はいかがでしょうか?
「平成10年度頃から、全国の自治体がかなり真剣に取り組まれるようになっていて、とくにここ1年で急速に導入が進んでいます。
 私たちは昨年5月に『行政評価への取り組みに関する実態調査』(図A参照)という自治体への調査を実施しました。その結果 、ほとんどの都道府県が導入しまたは検討中で、ふたつだけが『計画無し』という回答でしたが、その後、昨年9月の自治省による調査の結果 では、そのふたつとも
、『検討中』になっていました。今年も、現在調査中ですが、おそらく導入の勢いは増していると思います」

−都道府県の先進的な取り組みとして代表的なものにはどのような制度があるのでしょうか?

「三重県の事務事業評価システムがマスコミにもよく取り上げられ有名ですが、その他、北海道の『時のアセスメント』や『政策アセスメント』、静岡県の『業務棚卸表』などが注目されています。それらの手法が高く評価されているのは、それぞれ導入の目的がはっきりしていて、それに合っ


た方法を採っているからだと思います。
 三重県の事務事業評価システムは、行政の在り方を、質の問題としてとらえることを職員に求める意識改革を目的とする取り組みから入っています。評価手法としては、成果 重視ということで、事業の目的を明らかにして、成果を測る指標を設定、数値化していく手法です。また意識改革に重きを置くことから、職員研修もかなり熱心にされています。 北海道の時のアセスメントは長期間、停滞している施策などに、『時』という客観的な物差しをあてることによって、その役割や効果 について再評価を行う方法です。政策アセスメン
トは、施策と事務事業レベルの評価ですが、研修はいっさい無しでやられています。
 静岡県の業務棚卸表は、民間の経営手法である棚卸しの考え方をもとに業務の効率性をチェックするものです」

−ひと口に行政評価といっても、制度は多様で、どのような制度を導入するかを決めるためには、まず目的を明確にすることが必要ということですね。
「目的には総合計画の進行管理、予算の査定、事務事業執行の効率化、事業の再評価などがあ


ますが、自治体での導入の状況を見ますと、『せっかく導入するのだから、あれにも使おう、これにも使おう』と、目的が多岐にわたって総花的になっているケースがよく見られます。導入にあたっては、まず現状を把握すること、そして目的を明確にして、絞り込むことが必要です。それがあってこそ、結果 も自ずから明確な形で出てきます。
 例えば、県の財政状況が逼迫していて、それを解決しなければならないという状況があるなら、事業のカットという目的を設定して、行政評価も予算に直結させる制度にするわけです。あるいは

住民のニーズに目を向けたいということであれば、意識調査などによって、重点政策を打ち出し、それに沿って首長がビジョンを打ち出す形にすれば、結果 が出てくるわけです」



 
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