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派遣元、派遣先が守るべき点

--今後、派遣労働が拡大・発展していくために必要なのはどのようなことでしょう?
「われわれは派遣という制度は、良い点を活かしていただければ、労働者にとっても、事業主の方にとっても非常にメリットがある制度だと考えています。今回の改正によって、いっそう需給調整の効果を発揮すると思いますし、派遣労働者のニーズにもより合った制度になったと思います。ただし、効果を発揮するには新しいルールが確実に守られることが重要です。企業内で派遣労働者と直接雇用労働者とで保護の状況がまったく違うというようなことがあれば、派遣に対するマ
イナスのイメージを作ってしまうと思います」
--派遣元、派遣先が気をつけるべき改正点には、どのようなことがあるでしょうか?
「ひとつは派遣期間制限です。今回、国会の与野党共同修正で、労働者保護の措置は相当、拡充されましたが、与野党が目指した労働者の保護が確保されていくことが、事業発展のために大事であると考えています。
 派遣期間の問題の他、国会で議論の的となったのが派遣先による事前面接の問題です。 日本の労働者派遣事業制度は、派遣元が雇用責任を負い、派遣


先は指揮・命令をするという仕切りになっています。アメリカのように共同雇用責任ということであれば、派遣先が事前面接するのも当然でしょうが、日本の場合、雇用責任を負うのはあくまで派遣元であり、そこが採否の決定権をもつのですから、派遣先には、『労働者を特定する行為』、つまり派遣労働者の事前面接などをしないということを厳守していただきたいと思います。加えて、個人情報についても適正管理を許可基準の要件にするなどの措置が盛り込まれました。派遣事業のように大量の労働者の情報を扱う事業では、個人情報の保護には十分に守っていただきたいと思います。  また国会では、派遣労働者に対するセクシャル・ハラスメントの議論も行われました。男女雇用機会均等法で、その管理上の責任は雇用主が負担することになっていますが、今回の国会修正で、派遣 先も雇用主として責任を負う特例規定が設けられました。
 あとは社会・労働保険の問題です。これについては基準を満たしている方は確実に適用していただきたいと思います」
--派遣労働者への保険適用に関しては不満の声も聞かれるのではないかと思いますが?
「一般派遣労働者は派遣先で働いてい


る期間だけ雇用されている形ですが、これまでも派遣期間の間隔が短いケースについては、継続したものと見なして、雇用保険や厚生年金を適用するという発想もありました。しかし、今までは派遣期間も3年間まで認められていて、保険の適用も比較的簡単でしたが、これからは短期の派遣が増えていくわけですし、さらに派遣労働の他、働き方は多様になっていくでしょう。その状況に対して、社会保険制度をどのように適用していくか、この問題は今後、労働省、厚生省ともつめていかなければならない検討課題であると思います」 --法律の内容を周知徹底のため、貴省としてはどのような施策を講じられていますか?
「派遣元事業主用のリーフレットを12月の改正法の施行と同時にお配りしました。派遣先のリーフレットも作成して、派遣元を通じて派遣先に渡していただくようお願いしています。派遣労働者用のリーフレットも用意しています。また派遣労働者用の労働者派遣事業のチェックリストを作って、これは労働省のホームページ(http://www.mol.go.jp)に掲載します。派遣元の方、派遣先の方にも、労働者の立場になってチェックしていただきたいと思います。その他、色々な場面で制度の内容の周知を図っていきたいと考えています」



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