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法改正で最も議論された点

--派遣法の改正についてお聞きしたいと思います。常用雇用労働者(注4)の代替防止、つまり派遣労働者が正社員に取って替わらないよう、派遣労働の業務は臨時的・一時的なものに限定すべきだという意見があり、その一方、労働の多様化に合わせて1年間という派遣期間の制限を廃止すべきだとの意見もあるかと思います。改正作業にあたって、多様な意見調整する上で、労働省としてはどのようなスタンスをとられましたか?
「今回の改正では、法案を国会に提出する以前から常用雇用の派遣労働への代替防止ということが最も議論された点です。
 従来、派遣の対象業務を26種に限定することをもって、派遣労働者が常用労働者に置き替わらないことを担保してい ました。改正によって、ネガティブリストの例外の他は、あらゆる業務を派遣対象にできるようにするわけですから、常用雇用の代替防止として、何らかの対策が必要であると考えざるをえないわけです。
 労働者派遣について諸外国の制度を見ましても、派遣期間の制限方式を採っている国が主流で、対象業務の限定方式を採る日本は例外的であることからも、審議会ベースの議論も、派遣期間の制限方式ではないかということでまとまり


ました。では、どの程度の期間を設定するかですが、これまでの26種の業務は3年間でした。特別な雇用管理を必要とする業務は例外的に期間制限を設定していませんでしたが、一般的には、1年間という派遣契約期間があり、2回まで更新可能という行政指導をしていましたから、実態としては3年間という期間制限だったわけです。
 今回の改正の議論では、派遣期間については、労働団体側には3カ月間というご意見もあり、経営者サイドからは3年間というご意見も出されました。議論を進める中で、労働者の方にある程度、安定的に働いていただき、かつ常用雇用
の代替防止になる線ということで、新たに認める業務については1年間、これまで認められたいた26業種については、これまで通り3年間という期間が審議会ベースで設定されたということです」
--改正労働者派遣法は昨年6月30日に成立しましたが、国会における審議の過程では、どのような意見が出たのでしょうか?
「与野党共同修正として、1年間の期間制限の中身が相当強化されました。国会に提出された原案では、派遣先に対する規制として、1年を超えて派遣労働者を受け入れた時、是正の勧告しか出せませんでしたが、派遣労働者が派遣


先への雇い入れを希望する場合は、雇い入れの勧告をするという形になり、その勧告に従わない時は、企業名を公表するという制裁措置も盛り込まれました。また派遣元に対しては1年を超えて派遣労働者を派遣した場合、罰則がつくという制裁措置も加わりました。
 ただ期間制限について注意していただきたいのは、例外があることです。従来の26業務はこれまで通り原則3年の期間制限です。またあらかじめ派遣期間を決める有期プロジェクトの業務については3年間以内であれば認められます」


注4 「常用雇用労働者」
 常用雇用労働者とは、⊥期間の定めなく雇用されている労働者、⌒過去1年を超える期間について、引き続き雇用されている労働者、∂採用時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者をいう。

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