税理士試験は全11科目の中から5科目選択し、受験をする科目合格制度です。科目選択と受験する順序が大切なポイントなります。
科目の特徴
税理士試験の合格基準は各科目とも満点の60%と公表されておりますが、合格率が例年12%前後で推移していることから、実質的には競争試験です。実際、会計科目は50〜55%程度、税法科目は65〜75%が合格ラインの目安となっています。
科目の特徴 | 出題内容 | 基礎知識 | 標準 学習時間 |
|
---|---|---|---|---|
計算 | 理論 | |||
必須科目 | ||||
|
100% | 0% | 簿記2級 レベル |
450時間 |
|
50% | 50% | 簿記2級 レベル |
450時間 |
選択必須科目 | ||||
|
50% | 50% | 簿記3級 レベル |
600時間 |
|
50% | 50% | 簿記2級 レベル |
600時間 |
選択科目 | ||||
|
50% | 50% | 必要なし | 450時間 |
|
50% | 50% | 簿記3級 レベル |
300時間 |
|
70% | 30% | 簿記3級 レベル |
200時間 |
|
0% | 100% | 必要なし | 110時間 |
|
40% | 60% | 必要なし | 200時間 |
|
50% | 50% | 必要なし | 200時間 |
|
50% | 50% | 必要なし | 200時間 |
標準学習時間=講義時間+復習時間
なお学習時間は個人差がございますので、あくまで目安としてお考えください。また、理論暗記に要する時間は個人差が大きいため、含まれておりません。
科目選択のためのワンポイントアドバイス
簿記論と財務諸表論 同時学習について
会計科目である簿記論と財務諸表論は、税理士試験の必須科目です。簿記論は日々の帳簿を記録する技術を学ぶものであるのに対し、財務諸表論は、簿記の記録を前提に作成する貸借対照表の計算書類の作成技術を学ぶものです。このように、両者は密接不可分な関係にあり、学習上共通する項目も数多いことから、効率的な学習ができるとともに、相乗効果も期待できるとされています。
選択必須科目・法人税法 について
法人税法の学習では簿財に関する知識がなければ理解しづらい部分が多く出てきますので原則、簿記論・財務諸表論を受験後に学習することをお勧めします。
所得・法人・相続・消費以外の税法を受験した場合
上記以外の税法の受験を考えた場合、各科目ともボリュームが少ないので学習はしやすくなりますが、実務で評価されにくいというのが現状です。
どちらを学ぶ?法人税法と所得税法
法人税法と所得税法は選択必須科目とされていることからもわかるように、いずれも実務において重要な科目ですが、学習量が多く、合格までに必要とされる標準的な学習時間も長い科目と言われています。したがって、短期合格を目指すのであれば、どちらか一方のみを選択することが得策といえるでしょう。どちらを選択した方がよいかは将来、関わりたい業務を意識して選ぶことも一つの判断基準となるでしょうし、講義の無料試聴を通じて、取り組み易いと感じた科目を選ぶことも一つの判断基準になるでしょう。
- 法人税法
- 法人税法は実務上で最も必要頻度が高い人気の科目です。所得税法との受験者数を比較してもわかる通り、多くの受験生が法人税法を選択しております。これは、企業は必ず法人税を納める義務がありますが、法人税の計算は複雑で、企業の多くは税理士に依頼をするため、実務で最も重要視される科目の一つと考えられているからといえます。ただし、簿記論・財務諸表論との関連性が高く、簿財を合格または受験後に開始することが学習上効果的です。本試験の出題量も最も多い科目の一つですが、学習範囲が広い分、努力すればするほど知識が増え、計算の熟練度も増し、実力もぐんぐん伸びます。つまり、努力が結果(合格)に反映しやすい科目といえます。
- 所得税法
- 私たちにも身近な個人に対する税金を取扱うので、「株式譲渡に係る税金」「年金に係る税金」など興味深いテーマが多く、個人に役立つ知識を楽しみながら学習できる科目です。例えば、税理士として開業後、企業ではなく主に個人を顧客として仕事していきたい方はお勧めの科目です。学習範囲は多岐にわたりますが、出題可能性の低い部分も多く、試験上重要な部分を確実に身に付けることが合格に繋がります。また、例年、法人税法に比べ、合格率がやや高めなことが多いのも魅力です。