最後まで社会保険労務士になる夢を持ち続け、くじけることなく受験勉強に向き合えたのは、工藤先生のおかげです。
金尾 文隆 さん (60歳代)
受講した講座 | 工藤プロジェクトSwing−byセミナー |
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コースの受講形態 | 通学 |
受験回数 | 3回 |
社労士受験を志した理由
私は40年余り企業に勤務し、4業界5社で人事労務関係業務を30年担当しました。その最終年の3月に緊急で8日間入院することになりました。その前日本屋を冷やかしている中で、労災がコンパクトにまとまっていてちょっと見ようかなと衝動的に購入した本が1冊ビジネスカバンに入っていました。それが「ゼロからスタート!澤井清治の社労士1冊目の教科書」でした。入院中に2回精読しました。自分の会社経験と社労士の業務範囲があまりに重なっていることにビックリし、この出会いに運命的なものを感じました。また、勤務先の顧問社会保険労務士さんにも在勤中人事制度改正や職員クレーム等の場面で助けていただき、お世話になりました。こうした経緯の中で、定年後勉強しなおして社会保険労務士になれれば、自分の職務経験も活かして何か社会に恩返しができるかもしれないと思ったのが社労士受験を志した理由です。
LECを選んだきっかけ
昨年度の試験後に、3校の社労士講座の説明会に参加しました。そして、工藤講師の「工藤プロジェクトSwing-byセミナー」に出会いました。ツールボックス編として、厚生労働白書で社会保険制度の検証から始めるというスケールの大きい講義の構成に魅力を感じました。また科目のテキストでは、各項目ごとに趣旨と条文から始まってしっかりと理解するために必要な知識が網羅されていて、項目毎の分量やレイアウトなどは眼中にないというゴツゴツしたテキスト構成にも惚れました。何より工藤先生の情熱や豊富な受験経験に裏打ちされた信念に圧倒されました。今年一年全力でこの講座と格闘しようと決意し、LECにお世話になることにしました。
インプット時期の学習方法を教えてください
基本的には徹底して予習に力を入れました。「工藤プロジェクトSwing-byセミナー」はテキストだけで3,200ページありました。頭が真っ白な状態で1日6時間授業を聴いて理解できるはずがありません。テキストが到着したらすぐに一言一句間違い探しをするつもりで丁寧に読む、重要事項には赤鉛筆だけで線を引く(後で不必要な線は消せるようラインマーカーではこの段階では使いません)、そこで疑問点や気づきは付箋に書いて耳を5ミリほど出して教科書に貼りつけていく(通常の2.5×7.5の付箋の半分の大きさがテキストにベストマッチです)、この作業に毎日全力を注ぎました。テキストを1回じっくり読み終わったら、1日おいて精選問題集を解きます。この問題集は選択肢がない論述式スタイルなので、なかなか正解できませんでしたが、ともかく最後まで解きます。
次の段階では、「写経」と銘打ったノートを広げ、問題集のできなかった箇所、テキストを再読して覚えられない、理解できないところを、ひたすら鉛筆で書いて覚えるという作業を行いました。サブノートづくりではありません。ひたすら覚えようと意識してノートに書いていきます。この一連の作業を行っていく中で、その項目の全体像がクリアになり頭の中に整理されて納まっていく感じがしました。なおこの段階で分かりやすくきれいなサブノートづくりをすることは時間的にも無駄、作成したものも直前期には役に立ちません。まだ市販の参考書を買ってきて、気に入ったページに付箋をつけてテキストにそのページをメモしておくことの方が有用です。
この準備をして工藤先生の授業を受けます。授業中は全て黒鉛筆を使い、先生が授業中に重要マークを付される箇所はマルで囲み、重要な気づきは直接教科書の余白に書きこみました。書ききれない場合にはノートも使いましたが、後で整理がつかなくなりました。むしろ付箋に書いて該当のページに貼っておく方が、直前期にテキストに必要事項がすべて集約されていて有益だったかなと思います。
復習は、改めて問題集を解き、正解できなかった箇所のテキストを読み、再び写経するという方法で、各項目の知識定着を図りました。復習と予習の配分は、大体2日対4日くらいかもう少し予習が多い感じの割合でした。写経の成果としては、選択問題の解き方が変わりました。問題文を読みながら空欄に入る語句を手で書き、その後で選択肢から書いた語句を探すという流れになりました。正解率は格段に上がり、所要時間も大幅短縮になりました。
実戦答練以降の学習方法を教えてください
4月24日の最終講義が終了してからは、ギアを一段上げ、1日の勉強時間を平均1時間のばしました。1回目模擬試験まで概ね1カ月。その期間で、頭の中にぎっしり詰まった知識を科目全体としてすっきりさせ、科目間の同種項目の相違点・特徴をはっきりさせることをテーマにしました。その方法は短期間集中してテキスト精読し写経することです。毎日勉強する科目をカレンダーに書き、そのとおり進めました。併せて毎日勉強した科目と章をノートに時系列で記録することにしました。最初の頃は模擬試験までに1回転するのは間に合わないぞと焦りましたが、最後1週間の猛烈な追い上げで概ね計画通り完了し第1回目試験に臨むことができました。
ここで間違えた選択問題のハコ、択一問題の二択については、テキストの該当ページを再読しました。この段階でから変えたことが2つあります。初めてテキストに黄色のラインマーカーで重要ポイントのマークを始めたことと、間違えた選択肢単位(例えば健保10E)に1ページずつ写経することにしました。更に2回目模試以降は、模試の解答冊子を最低3回は読みなさいという工藤先生の指導もあり、模擬試験を定着化の柱とすることにしました。具体的には、選択の40空欄すべて、択一の350肢すべてについて、理解度を〇△×で評価し、△×の項目はテキストを再読することにしました。この段階では、写経がそのままその項目のサブノートとして使えるレベルになってきたように思います。また、テキストに黄色のラインマーカーの箇所がどんどん増えてくることが励みになりました。ある項目を再読する時に、同じ章の他の黄色ページももう一度チェックすることで、各科目の全体像が急速にクッキリしてくる実感がありました。工藤先生がよく言われる「どんどん定着を進めていってください」の「定着」の意味が解った気がしました。
3回目模試が終了後、あと20日学習計画を策定しました。何冊かの合格体験記を参考に「10の不安定な知識より5の確実な知識」を実践することにしました。改めて全出題範囲について、ちょっとでも不安を感じる項目をノートに洗い出してみたところ、1科目平均2ページ、全部で約500項目がリストアップされました。そのテキストの該当ページに付箋をつけ、そこを重点的に確認する中で、本番の日を迎えました。
スランプ克服法・苦しい時、どう乗り切りましたか?
1つは、年齢もあって、学生時代の受験勉強時と比べ記憶力が著しく低下していることを毎日実感させられたことでした。もう1つは、労働一般常識、社会保険一般常識で、白書や統計などの問題がまったく解けず、その結果科目の基準点に届かないことがしばしばあり、その対策をどう進めたらいいのか悩みました。
記憶力はどうにもならないので、写経と称して覚えたいことをひたすらノートに書くことで記憶の奥底に定着させる修行を行い、言葉としては忘れても、手が覚えている、あるいは第六感で正解の肢が無意識に選べることを目指しました。また、どうしても思い出せない単語は付箋に書いてあちこちに貼り、折に触れて眺めて記憶の定着に努めました。今も部屋中にいろいろな付箋が残っています。職業訓練受講給付金とか書いてあります。そろそろはがさねば。
後者については、結局、白書攻略講座のテキスト全部をノートに書き写して、何回も見直し覚えるよう努めました。具体的には、ノートを3分割し、左が項目、真ん中が正解肢の可能性のある内容と数値、右が補足事項としました。例えば、左:正社員以外を使う理由、中:正社員が確保できない38.1%、右:仕事繁閑31.7、賃金節約31.1、という感じです。この区分けでテキストをノートに書き写し、そのノートを繰り返しチェックした結果、本試験ではこの関係はすべて正解できました。良かったです。
LECで受講して良かった点
1つめは、工藤先生が情熱的で素晴らしかったことです。授業の目線が高く、試験突破だけではなくその後の社労士開業時に必要なプロとしての基礎能力を磨くことを基本とした授業をしていただきました。最後まで社会保険労務士になる夢を持ち続け、くじけることなく受験勉強に向き合えたのは、先生のおかげです。
2つめは、冬場になってコロナが蔓延し、リアル出席を断念せざるを得ない状況でしたが、工藤先生の授業を1回も途切れることなくネットで受講できたことです。毎週火曜日に自宅で受講できたことが本当にありがたかったです。
3つめは、事務局のスタッフのみなさんがどなたも本当によくできていることです。固有名詞はおきますが、最初の説明会に来た時の対応、本試験終了後の本試験所感のセミナーに参加した時の対応、私が毎週のようにしていた面倒な内容の電話連絡に対する受け答え等、誠に素晴らしかったと思います。
全日本社労士公開模試を受験して良かった点
1つめはスケジュールと内容が素晴らしいことです。講義の終了から1カ月で1回目模試、3回目模試の1カ月後が本試験という、計算されつくした日程であり、試験勉強のギアチェンジや、各項目の体系的、横断的理解を計画的に進め定着化を図るにあたって、ペースメーカーとして役に立ちました。出題された内容も試験範囲を幅広くもれなくカバーされていました。また難易度も本試験の模擬試験として極めて適切でした。最終段階でテキストの黄色ラインマーカーの充実ぶりを見て、この試験を柱に試験勉強を組み立ててきたことは間違いなかったと確信しました。
2つめは、特に択一式試験のペース配分の極意をマスターする上で非常に有用でした。具体的には、科目終了時にその時刻を問題用紙に記録し分析しました。1回目は自然体で解答して科目ごとに何分かかり、最後何分余るか、2回目は最高スピードで処理した場合のスピード感覚と弊害の確認(1回目から18分短縮したがケアレスミスが数個発生)、3回目はケアレスミスを起こさないことを意識しじっくり取り組んだ場合に時間を余らせることができるか(1回目より遅くなったが17分の余裕があった)等、各回毎にテーマを設けて取り組みました。この緩急訓練は、今回のように問題文書が昨年よりも相当多いことが最初に分かっても、気持ちペースアップして取り組めば時間的には大丈夫だというペース配分の安心感につながったと思います。
フォロー制度の活用方法について
一般常識メルマガ(ぱんメル)は、一般常識でこれまで苦労してきたので、毎週(あるいは定期的に)幅広い情報を提供いただけることはとてもありがたかったです。
また、コロナが蔓延して教室参加を見合わせた時に、Webフォローで引き続き工藤先生の授業が最後まで聞けたことは本当にありがたかったです。繰り返し聞くことや、ややスピードアップして聞くことができることも良かったです。
社労士資格をどう活かしていきたいですか?
私は会社員を2年前に定年退職し現在は年金受給者です。この試験の合格を契機にビジネス社会に復帰し、ささやかにでもお役にたてればと考えております。現段階では、開業社会保険労務士を考えています。とはいえ、人を雇用して行うことはその人の将来を保証できないため、自宅を個人事務所として登録して、1人でもできる専門テーマを中心にした活動ができればと考えています。今、その専門テーマを探索中です。自分の40年にわたる勤務経験の棚卸をしつつ、社会保険労務士の先輩方にも業務についてお伺いしながら、しばらく悩んでみようと思っています。実に贅沢な悩みだと認識しています。
そして、65歳高齢者が夢を実現するために、この資格はビジネス社会への「通行手形」になると期待しています。また、この資格が人々の信頼を醸成することの裏返しとして、自分自身が継続して専門分野の研鑽をしていくことの「姿勢矯正装置」であることも忘れまいと思います。何より、この資格を得たことで先輩の社労士の方々、他の士業の方々と交流の機会を得て、多くを学ばせていただけることが最大の資格活用なのかもしれません。
これから受験される方へのメッセージ
社会保険労務士は、日本のGDPの4分の1,120兆を超える予算が割り当てられ、すべての人々の生きていく活力の源になる「社会保障制度の運用」という重要な役割の一翼を担います。ですから、社会保険労務士試験のテクニカルな合格のためではなく、勉強で得た知識を縦横のつながりも含めしっかり理解し、頭のフラッシュメモリーにいつでも呼び出すことができ、相手のニーズに合った説明ができるようになることが求められると思います。
そのためには、①テキストを徹底して読み込んで理解し頭にたたきこむこと、②自分の到達状況について模擬試験を活用してきめ細かく確認すること、③随時学習の進捗状況を見直し、取組計画を立て着実に実行すること、④毎日の学習の結果をその日の最後に記録し随時振り返るとともに取組計画策定に活用すること、等がポイントになると思います。
最後にひとつ合格したポイントをご紹介しましょう。1年間の長丁場の中で助けられたのが、スマホの無料アプリです。これは勉強時間を日付別、科目別に集計してくれるアプリで、勉強開始時と終了時にボタンを押すだけで、いつでも日・週・月の単位にグラフで表示してくれます。このアプリのおかげで、1回目授業日以降本試験日までの約11カ月の間一日も休まず勉強できましたし、1年間で1,500時間(1時間1分足りませんでしたが)の勉強時間が確保できました。また、科目別にバランスよく勉強できているかが随時確認しながら進められました。そして、他のアプリ登録者から「いいね」のメッセージが来ること、自分の他に今の時間頑張っている人がいることを感じ、その人が今週長時間勉強していること等のデータ等も見て、元気がでました。これも合格の大きなサポートになりました。受験勉強を孤独で深刻なものにしないためにはお勧めのアプリです。以上です。