制度が導入されたとき、司法書士の具体的な執務はどのような内容になるでしょうか?
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岩澤
「私は後見に関する司法書士の執務を、@従来型の執務、A新しい執務、B関連執務の三つに分類して考えています。
[1]従来型の執務
これは、家庭裁判所への成年後見に関する申立書等の作成や成年後見登記等ですね。家庭裁判所の申立書はパターン化して書きやすくなっていますから、たんにそれを埋める作業だけではプロとしての専門性は出てきませんから、料金についてもあまり期待できないと思います。司法書士としては、それにどうやって付加価値をつけられるかが勝負になるでしょう。
[2]新しい執務
「後見・後見監督の執務です。任意後見であれば、契約書の作成からはじまり、後見をどのように行っていくかという問題になります。また介護保険への対応、介護や医療のチェックもあります。現在、医療過誤は問題になっていますが、介護過誤の問題は表面化しないことが多いので、それをチェックしていくのも、後見人の重要な役割になると思います。
[3]関連した執務
「成年後見そのものではないが、それに関連にした執務も広がっていくと思われます。任意代理であるとか、財産管理、財産承継(遺言執行等)が中心になるでしょう」
仕事を進めていくうえで、司法書士として留意すべき点はどのようなことでしょう?
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岩澤
「司法書士が手がける仕事は登記事務ひとつとっても、多種多様ではありますが、少なくともパターンごとに別けて、類型化はできます。しかし、成年後見の仕事は個性的なものを個性的なまま処理していく仕事になると思われます。そのため司法書士としても、これまでとはだいぶ発想を変えていかなければならないはずです。
エコロジーという言葉がありますが、本来の意味は自然と共に生きるということです。成年後見はいわば人と人との共生といえます。執務もそれに相応しい形にしていかなければならないと思います」
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