成年後見法案は参院に送られたまま、継続審議となりましたが、国会審議のプロセスをご覧になって、どのような感想を持たれましたか?
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岩澤
「昨年の段階では、今年早々には通常国会に法案を提出して、早期の成立を目指すということでしたので、われわれ司法書士サイドとしても、それに則した形で、社団法人成年後見センター・リーガルサポート(注2)の設立などの準備を進めていました。ところが、今年の通常国会は重要法案が多数審議されたという事情があるにせよ、実質的に成年後見法案の審議に入ったのが6月頃です。少なくとも7月の段階、あるいは8月に入った頃にでも、法律ができていれば、司法書士としては秋口から任意後見契約公正証書をどんどん作ることができました。それがズレこんてだしまったわけです。さらに、来年の春に向け、最高裁判所の規則が明らかになれば、申立書の書式、登記手続きの方法などを司法書士の間で周知徹底しなければなりません。ですから、制度がスタートする来年4月までの期間は大変忙しいことになると思います」
注2 「社団法人成年後見センター・リーガルサポート」
日本司法書士会連合会が中心になって設立しようとするものであるが、センターの役割は、@成年後見人等の養成、推薦及び指導監督、A財産管理及び身上監護の指導監督、B法人としての成年後見事務等、C研修会等の企画、開催及び講師の紹介、D成年後見制度に関する調査、研究及び普及活動、E成年後見事業包括保証保険、等である。
この12月、司法書士会が設立する社団法人成年後見センター・リーガルサポートについておききします。
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岩澤
「幸い、成年後見について、司法書士は全国的な協力体制がとれています。ただ、リーガルサポートはつめていくべき問題も残されています。例えば、支部と本部との関係です。連絡機関としての支部から、ある程度の独立性のある支部へ、どのようにして移行させるかなどです。また、さまざまな局面における意思決定の方法などについても、一つ一つ、実際に行っていく中で解決していこうと思っています」
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