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経済的困窮者のための方策


提出された法案の内容自体は評価されますか?
    岩澤
    「不十分な部分があったとしても、世界的にみて、すぐれた内容のものと評価できるのではないでしょうか。この法律が成立することで、禁治産の制度下における現状から、改善していくことができる余地は相当できたとみています。
     例えば、任意後見が導入されれば、契約という本人の意思に則した形をとりやすくなりますし、必ずしも精神鑑定を経なくてもいい部分も出てくる。それは申立手続きのスピードアップにもつながると思います。
     ただ、制度の存在と内容を国民にどのように理解していただくか、制度の受け皿をどうするかということです。リーガルサポートは、新成年後見制度の受け皿として設立されるわけです。また、法律をどのように運用するかも重要です。どのような成果が得られるかは、運用にかかっている部分が大きいと思います。裁判所などで関与する人たちが旧態依然の意識でやっていれば、決して良くならないでしょう。また、新しい成年後見法は未知の部分も相当大きいですから、施行された後、いろいろな不都合が出る可能性もあるでしょうが、それに関しては法改正で柔軟に対処していくべきです」

法案の内容をご覧になって、明らかな問題と思われる部分は?
    岩澤
    「経済的に困窮されている方に対する配慮という観点に欠けていることです。それに対して、法律扶助のようなシステムを導入する考え方もあると思いますが、私としては成年後見を介護保険の一部に組み入れるような方策を考えるべきではないかと思っています。介護保険は保険とはいっても、有料ですから、高齢者が財産を減らしてしまったら、介護保険のサービスを十分に受けられないことになります。しかも、介護保険はサービスの幅がきまっていて、それに外れることは自費負担になります。高齢者が自分の財産を保有していることは、より良い介護保険を受けるための前提条件ですから、財産管理は成年後見に属する問題であり、実は介護とも不可分の関係にあるわけです。そういう意味からいっても、成年後見を介護サービスの一部門に含めていいのではないでしょうか。
     あるいは別に何かしら保険に類するシステムを取り入れることで、例えば、ある契約を交わすことで、5万円かかるところを5,000円の実費負担で済むというようにしていくことが必要ではないでしょうか。その他、精神能力に傾きすぎている点、財産に傾きすぎている点もありますが・・・」


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