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外形標準課税は合理的差別

−先般、東京都による銀行に対する外形標準課税が話題になりました。これに対する評価をお聞きしたいと思います。
 「私は賛成しています。金融システムを安定化させ預金を保護するということで公的資金という税金をつぎこんだわけですから、その段階で、金融機関は株式会社という姿ではなく、電気やガス、保険など、外形標準課税である公共事業と同じような公共性という性質を帯びていると判断されるわけです。銀行サイドからは、憲法第14条の定める『法の下の平等』に反するという意見が出されていますが、憲法のいう『法の下の平等』とは、自然法に基づく人間平等の理念の表れであって、後天的、技術的な立法政策としての公平負担とは、まるで次元が異なるものです。法人制度は、社会の必要から法が認めた擬制的なもので、個人のような天賦自然の基本的人権は原則として存在しない。したがって全体の利益から考えれば、都民全体の利益のための外形標準課税は合理的差別として許容されるという判断が可能だと思います」

−さらに広く一般の法人についても、所得ではなく、収入に課税すべきという意見が出されるようになっています。これについてはいかがお考えですか?
  「中小企業法人の約60%が赤字法人で法人税を払っていないという状況があります。個人にも相当、払っていない人がいるわけです。一律で課税するのであれば、まさ社会のコストを分担するという税本来の目的に適合するわけです。そのとき大事な視点は、60%もの法人税を払わないようなことでは、営利を目的とする法人という制度のそもそもの目的に反しているのではないかということです。少なくとも、5年以上債務超過の法人については上場廃止とか、閉鎖登記簿とか色々な手当てがあります。同じように、法人でいながら、5年も10年も利益が出せないものについては、結局、税制を利用して、納税を回避しているという疑いを免れません。私は『みなし個人』と呼んでいますが、そういう法人には所得税をかけるべきだと主張しています。それが税の公平ということではないでしょうか」



−税の解釈がねじれていると?
 
「『法人は最高の節税手段だ』というような人がいるわけです。それは間違っています。法人とは社会的目的の達成のために法が認めた制度です。であれば、法人という制度を、社会の目的に合致するような制度にしなければならないわけです」



 
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