↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 通巻 196号

標準的ガイドラインの内容

−税の三原則に照らしたとき、消費税に関しては、どのような問題があるでしょうか?
  「税の公平性という点で、私は現行法の消費税に誤りがあると見ています。真の消費税負担者は誰か。法的にいえば、消費税法第5条に、『事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を収める義務がある』とあります。納税義務者は、あくまで『事業者』であって、『消費者』とは書かれていないのに、実質的には、消費者が税金を支払っているという問題があります。国民には、憲法第30条が規定する納税義務が課せられていますが、消費者という立場には、消費税法上の納税義務がないわけです。それにも関わらず、なぜ消費者が払っているのかといえば、やはり税収を確保するとい
う見地からの国庫主義の表れではないでしょうか。要するに、取りやすいところから取ろうということです。
  消費者が税金を払わされることについて、裁判所に訴えた事件がありまして、裁判所は、税金を支払うべきは事業者で、消費者ではないと、はっきり判断しています。ただ税制改革法第11条で、税金は浅く広く消費者に負担させるという規定をおいているから良いとしていますが、税制改革法とは政府の政治的責務を定めたにすぎないのであって、誰を消費税の納税義務者か決めない限り、違法な状態です。今、政府はそのことをひた隠しにしているのです。
  今や消費税は税制の大きな柱になろうとしています。私は将来、消費税の税率は20%くらいになると見ています。そのためには、少なくとも消費税法に、


納税義務者は消費者である旨をきちんと明記するべきです。そして、事業者はそれを預かって国に納めるだけの存在として扱うべきです。そうすれば、事業者が消費税を自分の懐に入れたりすれば、完全な横領となります。それを今のような形にしているから、事業者に『消費税還元セール』といった発想が出てくる。どうして事業者が税金をまける権利があると勘違いするのか?それは根本の考え方が間違っているからです。
  益税の問題も現行法の矛盾から起こっているわけです。それを防ぐには、納税義務者を消費者として明確にする。そして現在の簡易課税方式の基準期間の課税売上高が年間2億円以下の業者という設定はあまりにも高過ぎますから、これを大幅にダウンさせる必要があります。
そして、消費者を納税義務者としたら、必ず領収書を出すようにする。それをつけて納めれば、いくら税金をとったかはっきりします。
  消費税を現行法でいくのであれば、インボイス方式も検討すべきです。領収書を発行し、金額を記入させ、事業者が税金を納める場合、そこから差し引く。そうなれば事業者の懐には入らなくなりますから、益税の問題は防ぐことができます。領収書を発行しながら、税務署に申告しなければ、まさに客が納めた税金を不当に横領したことであり、重い罪に問うことができますから」



−税制改革の議論では、よく直間比率の見直しということが言われていますが、これについては、どのようにお考えですか?
  「国家の費用を共同分担するという申告納税制度を根幹にして考えますと、申告納税による所得税などのウエイトを半分以上に置くべきではないかと思います。つまり自動的に課税される消費税はあくまで補完税の位置づけになると見ています」


−費用の分担ということでは、議論の的になっている課税最低限の引き下げについてはどのように判断されますか?
  「私は大幅に引き下げるべきという立場をとっています。現在、課税最低限は夫婦と子供ふたりの4人家族で384万2000円という金額になっています。私は金額に大小はあっても、すべての人が国の費用を共同で分担していることを意識するには、現在の課税最低限はあまりにも高過ぎます」

 
→Next

↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 通巻 196号
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.