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ベンチャー企業の資金調達をどうするか

−−国際会計基準が関係してくるのは比較的規模の大きな企業とされていますが、例えば日本の技術開発型のベンチャー企業が海外で評価されることを考えて、国際会計基準を導入する可能性はあるわけですね? 「それは大いにありえます。それについては、アメリカでも改めて問題になっていることがあります。研究開発費の会計の問題です。ソフトを作っている研究開発型の企業で、創業間もなければ、資産がないわけです。研究開発費の会計は結局、製品化に至るまでの研究開発コストを費用として処理をしますから、立ち上げの時 は当然、財務状況は真っ赤になります。製品化して、それが売れて、初めて利益が出るわけです。しかも開発を一本に頼るわけにはいきませんから、同時に何本かソフトを作っていく。そうしますと、一本の収益ではカバーできない可能性があります。生み出した収益を研究開発費に振り向けて、かつ利益を生み出すという構図は、企業規模がある程度の段階までいかないと描きにくい。収益を生む資産を有しない企業の財務諸表は大幅な資本欠損の状況に置かれるわけです」 −−それに対して、銀行は融資をしにくい? 「銀行の融資は、


資産として物を担保に取る、それが無ければ収益性を見るというスタンスです。ベンチャー企業はその両方ともカバーできません。銀行がこれまでの融資姿勢を堅持するなら、そういったベンチャー企業の資金調達をどうするかという問題があるわけです。確かに銀行から見れば、そういう企業は融資対象としては不健全なわけです。アメリカでも、ドット・コム・ビジネスの企業の格付は軒並みジャンクの評価です。しかし株価は非常に高くつけられるのです。  先日、アメリカの議会で、『今の研 究開発費に関する基準は厳しすぎるのではないか?アメリカが将来、技術的に海外に負ける芽を作ってしまうのではないか?』という議論があり、その修正を提案する動きがありました。しかし、アメリカには個人投資家であるエンジェルたちがいたり、未公開・公開株の市場がそれなりに整備されていますから、ベンチャー企業は、さまざまな手段で資金を調達することができます。日本はそういう市場の整備さえ不十分です。そういう根本的な問題があります。」


 
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