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見積もりの領域が増加

−−新しい会計基準を導入する際、どのような点で混乱が生じるでしょうか? 「会計で見積もりの領域が非常に大きな割合を占めるようになっています。日本の会計では、そのような見積もりをほとんどやってきませんでしたから、混乱が生じるとすれば、その点が大きいのではないでしょうか。」
−−どのような部分で見積もりが取り入れられるのですか? 「例えば、日本では不良債権に対する貸倒引当金の設定について十分に行われてい
なかったきらいがあります。それも見積もりの領域です。退職給付会計でも、利率、ベースアップ率、昇格がどのように行われるかなど、様々な形で見積もりが入ってくるわけです。金融商品会計にしても、そういう見積もりの領域がかなりの部分を占めます。日本人があまり慣れていない見積もりの領域が大幅に入ってくることが、会計における大きな質的変化と言えます。」 −−日本でこれまであまり行われてこなかったことに何か理由があるので


しょうか? 「貸倒引当金については、日本人が『右肩上がりの神話』に漬かっていたことがあげられると思います。地価が急速に下落して、それが容易に回復しない事態になると、ほとんどの人が想定していなかったわけです。細かく見ていけばいくほど、日本の経済というのは、土地本位制です。経済の根幹を成している土地の評価額が下がるという事態が想定されていなかった。それが
もっとも大きい理由だと思います。  加えて、日本人の性格ということも影響していると思います。日本人というのは決まり切ったことは実直に行うのですが、微妙な領域はあまり取り組もうとしない。そういうカルチャーがあるのではないでしょうか。見積もりというのは、まさにそういう領域のもので、あまり手をつけたがらない雰囲気があったと言えます。」


 
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