ITストラテジストとは?できる仕事?
魅力・活用のフィールド
情報戦略の策定支援を行い、ITを活用した新製品やサービスの企画を行う能力を認定するのが「ITストラテジスト」。ITストラテジストが注目される背景や魅力、さらには試験合格のためのコツをお伝えします!
ITストラテジストとは
情報処理技術者試験を実施する情報処理推進機構(IPA)によると、ITストラテジストの対象者像は『高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者』とされています。企業の経営目標達成のために、ITを活用して競争優位な新製品・サービスの企画・推進を行い、ビジネスを成功に導くのがITストラテジストです。
ITストラテジストが注目される背景
AIやIoTが急速に普及し、膨大なデータを得ることが可能となり、データ利活用が当たり前の時代となりました。さらには、DXが加速する時代となり、ITやデータを活用しながら新規ビジネスを創出し続けていくことが求められるようになりました。その中で、市場優位性を築き上げながらシェアを獲得することで、経営目標の達成を目指す必要があります。
一方で、これまで競合他社となりえない全く別の業種・業態の企業が新規参入してくる脅威や人材不足などの理由で市場スピードに追いつけなくなるなど、従来の成功パターンで将来も保証される時代は終わりを告げました。
このような背景の中で、ITを活用しながらビジネスを創出する仕組みを作り上げ、新製品・新サービスを企画し、市場に送り出すことで競争力を向上させるような人材が必要になりました。ITストラテジストは、時代の変化や経営環境の変化が激しい中でも生き残っていくための情報戦略策定支援を行い、新製品・新サービスを企画・提案することを期待されています。
ITストラテジスト試験の学習を通じて、CIOやCTO、ITコンサルタントに必要となる知識を習得することが可能です。
ITストラテジスト資格の魅力
魅力① 社会から求められる資格
IT人材の不足は社会問題としても捉えられているもの。IT技術者だけでも不足しているのに、情報戦略策定や新製品・サービスの企画・提案できる高度IT人材となるともっと不足している状況です。ITストラテジストに合格することで、ITコンサルタントなどに必要となる知識や疑似体験を得られるだけでなく、希少価値の高い人材になることが可能です。
魅力② 活躍の幅が広い
企業の数だけ経営目標や経営戦略があります。言い換えると、非常に多様な業界・業種・業態の中から、自分の得意とする分野で企業の情報戦略策定支援を行うことが可能です。専門分野が多ければ多いほど活躍の場が広がるため、そのベースとなるITストラテジストとしての基礎知識をしっかりと固めることで、その先の選択肢は無限に広がります。
魅力③ 就職・転職に役立つ
IT系の人材は、特に人手が不足している分野の一つ。高度IT人材レベルの技術者は、慢性的な人手不足です。今日では経営とITは一体として考える必要があり、IT業界にとどまらず、一般企業でも重宝されます。よって、ITストラテジストは、就職や転職で十分なアピール材料になります。
魅力④ ITに関わる知識・技能習得を証明する国家試験
情報処理技術者試験には数多くの区分がありますが、経営とITを掛け合わせて、経営目標の達成に導く経営者寄りの役割を担うのがITストラテジストです。ITストラテジストに合格することで、CIOやCTO、ITコンサルタントとして業務を遂行する水準に位置することの証明になります。
他の情報処理試験との比較
レベル | 比較 | 対象 |
---|---|---|
1 | ITパスポート | 全ての社会人 |
情報セキュリティマネジメント | ITの安全な利用面を推進する者 | |
2 | 基本情報技術者 | 情報処理技術者(エンジニア) |
3 | 応用情報技術者 | |
4 | 各種高度資格 |
魅力⑤「高い合格率」のIT国家試験
情報処理技術者試験の中でも最高峰に位置づけられるITストラテジスト試験ですが、平均的な合格率は14%程度です。平成21年度の試験制度改正前は数%と非常に難易度が高かった時期と比べると、現在の試験制度になってからは合格しやすくなっています。
他資格と難易度比較
関連する他資格との比較図です。
資格の難易度を合格率と目安勉強時間で表すと以下のようになります。
資格名 | 合格率 | 勉強時間(約) | 試験実施 回数 |
---|---|---|---|
ITパスポート ※1 | 50%前後 | 100〜180時間 | 随時 |
情報セキュリティマネジメント(SG) | 70%前後 | 200時間程度 | 随時 |
基本情報技術者(FE) | 45%前後 | 200時間程度 | 随時 |
応用情報技術者(AP) | 25%前後 | 500時間程度 ※2 | 年2回 |
システムアーキテクト※3 | 15%前後 | 200時間程度 | 年1回 |
MOS | 非公開 (60〜80%と 言われている) |
50時間程度 | 随時 |
ITストラテジスト | 15%前後 | 200時間程度 | 年1回 |
キャリアコンサルタント | 65%前後 | 200時間程度 | 年3回 |
司法書士 | 4〜5% | 3,000時間程度 | 年1回 |
中小企業診断士 | 5〜7% | 1,000時間 | 年1回 |
社会保険労務士 | 6%前後 | 1,000時間 | 年1回 |
行政書士 | 10%前後 | 800時間 | 年1回 |
宅地建物取引士 | 15〜17% | 300時間 | 年1回 |
簿記3級 | 50%前後 | 50〜100時間 | 年3回 |
簿記2級 | 20%前後 | 100〜200時間 | 年3回 |
ビジネス実務法務検定試験®3級 | 60~70% | 50時間程度 | 年2回 |
統計検定®3級 | 75%前後 | 30時間程度 | 年2回 |
- ※1 令和5年度実績
- ※2 基本情報技術者に合格していれば、追加で200時間程度
- ※3 応用情報技術者くらいまで取得済みでないと難しい
ITストラテジスト資格を取得するためには
ITストラテジストになるためには、毎年春(4月)に全国で開催されている、情報処理技術者試験を受験して一定の得点を取る必要があります。ITストラテジストは年1回の開催で、レベル4の試験です。問われる内容としては、主に情報戦略策定やシステム化計画に関する専門的な内容が深く問われます。特に、午後Ⅱ試験では論述式で解答する必要があり、与えられたテーマで一貫性のある具体的な論文を書く必要があります。しっかりと基礎知識を身に付け、それを応用できる訓練を積み重ねることが非常に重要になります。
LEC「ITストラテジスト試験合格講座」の特長
- 特長①ベテラン講師による講義
- 情報処理技術者試験の実施団体である独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)でセキュリティプレゼンターも務め、ほぼ全ての情報処理技術者試験に合格。IT資格試験を知り尽くした講師による講義です。
- 特長②「暗記よりも理解」を重視する講義
- 複雑なテーマも豊富な具体例を用いるとともに、分かりやすい言葉で理解を促します。本試験問題に独力で対応できる力を養い、理解力・得点力の双方を短期間でアップさせ、最短合格へ導きます。
- 特長③コンパクトに学べるカリキュラム
- 「午前Ⅱ対策(選択式)」では、過去問(選択式)で演習しながらITストラテジストに必要な知識をコンパクトに解説し、繰返し出題される重要論点を確実に得点することを目指します。過去問を分析した講義の内容で、コンパクトながら9割以上の出題範囲をカバー。さらに午後試験に使える知識も追加でポイント解説します。
- 「午後Ⅰ対策(記述式)」では、特に問題を難しく考えすぎる傾向がある方に対し、シンプルに答えるためのテクニックを習得します。過去問(選択式)で演習しながら、技術力や技術的知識が無くても、問題文の誘導に従い、制限時間内(45分×2問解く必要がある)に解き終えられる手順を伝授。持論を述べないことも、特に経験者は要注意です。ITストラテジストが現場で必要な知識についても過去問(記述式)解説の中でポイント解説します。
- 午後Ⅱ問題(論述式)は経験がなくても心配無用ですが、書けば受かるわけではありません。問題が求める解答の方向性をよく理解して、制限時間(120分)内にシンプルかつ的確な解答が求められます。「午後Ⅱ対策(論述式)」では、シンプルかつ的確な論述が苦手な方に対し、過去問(論述式)で演習しながら、最低2000字を2時間で書き切るためのテクニックを習得します。立場がブレないよう論述することも重要です。これらを念頭に、講義で解説した過去問を使った手書き練習(復習)も必要となります。ITストラテジスト実務で必要な知識についても過去問(論述式)解説の中でポイント解説します。
ITストラテジスト
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ITストラテジスト試験の出題範囲は広く、経営戦略に基づくITを活用した事業戦略、ITによるビジネスモデル、事業戦略の実現可能性確認、情報システム戦略、製品・サービス・業務・組織・情報システムの改革プログラム全体の進捗管理等に関することが出題されます。
ほかの試験と出題範囲が重なる部分が多いため、それらの資格の学習経験者や合格者の方のステップアップにも最適です。
LECはこれからITストラテジストを取得したい方から更なるキャリアステップを踏み出したい方まで、自己研鑽をサポートするカリキュラムを提供します。
- ITパスポート
(iパス) -
ITに関する基礎知識を理解したい方
- 情報セキュリティ
マネジメント(SG) -
ITパスポート試験に合格し、さらにステップアップしたい方
- 基本情報技術者
(FE) -
IT技術者・エンジニアの登竜門としてIT適正知識を習得したい方
- 応用情報技術者
(AP) -
中堅のIT技術者の方で独学では難しいテクノロジ分野を理解したい方
- 生成AIパスポート
-
AIに関する基礎知識、生成AIの簡易的な活用スキル習得したい方
個別受講相談
- 資格や試験について詳しく知りたい方
- 学習方法やカリキュラムなどの流れを掴みたい方
- 自分に合った最適な講座・割引を提案してほしい方
LECでは受講前の受講相談も実施しています。
受講相談は各本校にお問い合わせください。
よくある質問
- Q.ITストラジスト資格を取得後、どのような活用シーンがありますか。
- A.人事評価などへ反映されることがあるので、お勤めの方は会社へ資格取得の申請をするとよいでしょう。資格手当が支給される場合もあります。また、就職や転職時の際にも、高度IT人材であることをアピールできます。
- Q.現在の業界の現状や役割について教えてください。
- A.ITストラテジストは、経験豊富で、企業の経営課題の解決支援を行うような、部長クラスの役割の方のイメージです。IT技術者としてのキャリアアップには不可欠な試験と言えるでしょう。人手不足が深刻化しているIT分野および経営層と対等にやりとりする分野での活躍に役立ちます。
- Q.ITストラジスト試験合格率や勉強時間はどれぐらいですか。
- A.試験実施団体の情報処理推進機構(IPA)から公開されている資料によれば、ITストラテジスト試験の合格率は14%程度で推移しています。約10人に1人の合格率ですので、難関試験に分類されるでしょう。勉強時間は、応用情報技術者および論述系の高度区分に1つ以上合格している受験者であれば、200時間程度、そうでない場合は400〜600時間程度必要です。
- Q.短期で確実に合格を勝ち取りたい場合におすすめの方法はありますか?
- A.やはり、短期で確実に合格を勝ち取りたい方には講座の受講をおすすめします。ITストラテジスト試験は多くの受験生が未経験状態です。裏を返せば、方向や対策を間違えずに学習することでライバルと差をつけることが可能となり、十分に合格レベルに到達できます。一方で、この試験はレベルが高いので、効率的に学習しないと膨大な量をこなすことになってしまいます。要点を効率よく学べるのが講座の受講のメリットです。
- Q.独学でも合格できますか?
- A.応用情報技術者やプロジェクトマネージャなどの論述系の高度区分に合格済みの方であったり、実務でITコンサルタントなどの業務に関わっている方であれば、独学で学ぶことも可能です。でもそうでないという場合は、膨大な範囲とレベル感で挫折してしまうかもしれませんので、無理に独学だけにこだわらなくても良いでしょう。
- Q.ITストラジストの合格点は何点?
- A.ITストラテジスト試験は、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱに分かれています。合格基準は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰのそれぞれで、100点満点中60点以上を取ること。午後ⅡはAランクを取ることで合格できます。午後Ⅰおよび午後Ⅱは解答する問題を選択できるので、得意分野がいくつかあれば合格しやすくなります。なお、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰでそれぞれ60点以上を取らないと、それ以降の採点が行われないので、得点を知ることができなくなってしまいます。例えば、午前Ⅱで60点未満の点数を取ってしまうと、午後Ⅰおよび午後Ⅱは採点されません。
- Q.ITストラジストの資格取得者におすすめの資格はありますか?
- A.中小企業診断士試験がお勧めです。中小企業診断士は、中小企業の経営戦略策定を支援する役割を担います。ITストラテジストはこの経営戦略をもとに情報戦略の策定支援を行うため、経営戦略から情報戦略策定までをカバーすることができ、さらに希少性を高めることができます。
- Q.試験実施団体によって、試験内容や試験日は異なりますか?
- A.試験の実施は情報処理推進機構(IPA)が担っています。試験日は毎年4月第3日曜日に開催されますので、あらかじめ受験のタイミングを予定しておくとよいでしょう。試験内容は、毎年シラバスに沿って実施されますが、大きな変動はありません。
- Q.企業での団体申込みや企業研修はありますでしょうか。
-
どちらも企業様向けに個別に対応しております。
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