不動産鑑定士は、弁護士・公認会計士と並ぶ三大国家資格の一つであり、全国にわずか約8,000人しかいない、非常に稀少価値を有する資格です。業務の対象とする「不動産」は、土地の価格や不動産売買の有無が直接景気の影響を受けないため、好不況に左右されません。独立開業はもちろん、企業内鑑定士として、専門能力を発揮することもできる不動産系資格の最高峰です。
不動産鑑定士の魅力
①就職・転職に有利
鑑定部門を設けている不動産会社はもちろん、信託銀行を代表する金融機関や駅前開発を積極的に行う鉄道会社などの一般企業だけでなく、不動産に関係する官公庁においても優遇されます。受験生は社会人が多数を占めるため、在学中の合格者のインパクトは相当に大きいものがあります。
②希少価値が高い
不動産鑑定士は、全国にわずか約8,000人しかいない、非常に稀少価値を有する資格です。弁護士・公認会計士に比べるとマイナーなイメージのある不動産鑑定士ですが、拡大するフィールド{例えば、REIT(不動産投資信託)など}に対して絶対数が少ないことから、その稀少価値は絶大です。
③安定した収入
不動産鑑定士の平均年収は、約700〜800万円と言われており、資格別のランキングでも常に上位に位置しています。もちろん、これはあくまで平均値なので、どの資格にも言えることですが、就職や転職・独立開業とともに、個人の努力次第でさらなる高所得を得ることも可能です。
④ダブルライセンス
弁護士・公認会計士などの最難関資格とのダブルライセンスは、相乗効果が期待できます。具体的には、不動産に強い弁護士・公認会計士などと認識され、顧客獲得の幅が大いに広がります。また、司法試験・公認会計士試験合格者は、不動産鑑定士試験において科目免除制度があります。
不動産鑑定士の仕事
①鑑定評価業務
公正・中立の立場から理論に裏付けられた不動産の価値を求める業務です。これは国から認められた独占業務です。業務を大別すると、「公的評価」と「民間評価」に分けられます。特に、毎年一定の安定した収入が見込める「公的評価」は、他の資格にはあまり見られない魅力の一つです。
- 公的評価
- 依頼主:国・都道府県
- 地価公示
- 相続税路線価
- 裁判所の競売に関わるもの
- 公共用地の取得 など
- 民間評価
- 依頼主:個人や企業
- 不動産売買・担保・賃貸
- 不動産を相続するとき
- M&A(企業買収)に関わるもの
- 不動産を証券化する際の資産評価 など
②コンサルティング業務
不動産鑑定評価で培った豊富な経験と専門的知識を活かして、個人や企業を対象に、不動産の有効に活用するための総合的なアドバイスを行うクリエイティブな仕事です。不動産のプロフェッショナルとして、今までにない独自のビジネスモデルを構築したり、創造的で将来性のある業務です。
- コンサルティング業務の一例
- 不動産の有効利用の提案
- マンションの建て替えの際のコンサルティング
- 市街地再開発事業等に係る不動産の権利調整
- CRE戦略(企業が所有している不動産の有効活用の提案)
- プロパティマネジメント(不動産に関する資産の管理業務) など
不動産鑑定士の働き方
①独立開業
不動産鑑定士は独立しやすい資格と言われています。その大きな理由は、「公的評価」があるからです。加えて、コンサルティング業務があり、努力次第ではさらに高い収入を得ることが可能です。また、弁護士・税理士などの方と提携すれば、総合的に個人・企業の要望に答えることができます。
②企業内鑑定士
不動産鑑定士は、鑑定事務所に勤めるというイメージが強いですが、不動産会社や建設会社において、マンション再開発プロジェクトなど、専門性を発揮できる職場で活躍している方も数多くいます。その他、信託銀行を代表する金融機関、官公庁、鉄道会社など、幅広い分野での活躍が期待できます。