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特集2 司法制度改革3
二本立ての紛争解決方式

--司法書士と弁護士が対立構造になるのではなく、協力関係のシステムを構築することが必要だということでしょうか?
「その通りです。私はこれまで主として裁判実務を長い間やってきましたが、その経験から実感しているのは、紛争は、ふたつの類型に分けられるということです。
 弁護士という専門職に頼まなければならない訴訟類型の事件もありますが、司法書士が支えれば、本人訴訟で十分対応できるものもあります。
 後者のような、実質的な紛争のない事案すべてに弁護士が関与することはないはずです。具体的に申し上げれば、裁
判で相手側の欠席が予想される事件です。争いがないのですから、簡単に判決が出ます。それを、わざわざ弁護士に依頼することはありません。また不景気の昨今、賃貸借契約に関する事件が多発していますが、賃料を払わないから、物件の明渡しを求めるという事件は原告が勝って当然です。特別な抗弁事由があれば別ですが、勝って当たり前の事件なら、弁護士を頼むまでのことはありません。低廉な司法書士報酬で、弁護士に依頼したと同じ判決結果が得られなら、利用者の経費負担から考えて、司法書士の有用性は高いと思います。


 これまで訴訟とは、弁護士が担当するものと決め付けられていたところがありました。しかし、弁護士による解決が訴訟の唯一の理想ではなく、弁護士とは異なった、本人訴訟を支援する独自の専門家が存在すること。司法書士の書類作成と助言があれば、十分に解決可能な紛争があるということ。今まで、そのような社会一般の認識が足りなかったと思います。
 裁判事務に関して司法書士の簡裁代理権が認められ、完全な書類の作成ができるようになれば、司法書士と弁護士の訴訟代理が対峙する形で、紛争解決
の方法が二本立てになります。弁護士と司法書士の社会的分業がきちんとできれば、両者の共存共栄につながるだけでなく、国民の利益にもなります。司法書士による紛争解決という手段が整うことで、利用者は選択権を行使できるようになります。専門家が競争することは非常に良いことです。業務を独占することによって、ややもすれば閉鎖的、権威的になり、依頼者に対してインフォームドコンセントに欠けるというようなことになりはしないでしょうか。そこに競争原理が導入されることで、互いに切磋琢磨すれば、さらに良い結果も期待できます。


 簡裁代理権が認められ、司法書士が訴訟を支える一本の柱となれば、今まで本人訴訟で救済されなかった部分に光が当てられ、日本の訴訟の世界は明るくなるでしょう」

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