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特集2 司法制度改革3
簡易裁判所事件の代理権

--書類作成による本人訴訟の支援からさらに一歩進めて、簡易裁判所の代理権を認めることを要望されていますね。
「この問題も、昭和40年代後半から議論されていたことです。私が知る限りにおいて、もっとも早い段階の提言として、新潟大学の桜田教授が朝日新聞の「論壇」に出された『司法書士に簡裁代理権を』という論文がありますが、それに対して、当時の日弁連事務総長の松井さんが、『法曹人口を増やせば解決する。司法書士に簡裁代理権を与えることは弊害になる』と、すかさず反論されています。
 日司連としても、簡易裁判所における訴訟代理権は司法書士制度改革の目玉としてとらえ、その獲得はぜひ実現したいと考えています。
 規制改革委員会の「規制緩和についての第2次見解」によりますと、司法書士に、簡裁の訴訟代理に限らず調停あるいは和解の代理を認めるとされています。私は『簡裁代理』というのは総称であって、簡裁事件すべてについて代理権を与えるという主旨の提言であると理解しています。簡易裁判における意思表示の送達、公示催告の除権判決などです。また家庭裁判所における家事審判


や家事調停さらに執行事件についても代理権を与えようということであり、すばらしい内容だと、歓迎しています。更に、裁判外の示談交渉権なども認めてほしいものです。
 簡裁代理については事物管轄の問題もいずれ議論されるかと思います。今、訴額95万円を超えない事件が対象ですが、実態を考えますと、これを300万円くらいに上げる必要があるのではないでしょうか。今、簡裁事件が激増していますが、司法書士が代理人になれれば、管轄を拡大してもいいのではないかと思います。


--簡裁代理権とともに、民事訴訟における補佐人制度についても要望されていますね。
「簡裁代理権と同等のものとして、司法書士の補佐人制度を創設してもらいたいと要望しています。民事訴訟法第60条(注1)で補佐人制度が規定されていますが、これは特別な専門事件について、専門家から意見を聞くというようなケースが多く、実態としてはほとんど利用されていません。地裁以上の事件では、司法
書士が補佐人として法廷に立って、当事者の弁論能力を補充する制度があっていいと思います。司法書士は弁護士と同等の書類を作成しているわけです。法廷には立たないものの、実態として後見的な役割を果たして、実質的に訴訟代理を担っているからこそ、書類作成ができるのです。ですから、司法書士に補佐人の資格を与えよということは、決して不当な要求ではないと思います」

注1 「民事訴訟法第60条(補佐人)」
(1) 当事者又は訴訟代理人は、裁判所の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
(2) 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
(3) 補佐人の陳述は、当事者又は訴訟代理人が直ちに取り消し、又は更正しないときは、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。

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